06/09/12のバレ

カティ「僕の最後の戦いです…見ててください」
サブ「最後だって?何をバカなことを言ってるんだ!」
そこでカティはやりきれないような顔でサブを見る。
カティ「勝敗に関係ありません…僕はもうすぐ死ぬんです」
サブの疑問より先にカティが口を開く。
カティ「『覚醒』って知ってますか?」
サブは首を縦に振る。
カティ「普段は眠っている『気』を開放することで通常を遥かに超えた力を発揮すること…
    あるいは人体に通常以上の『気』を流すことによって身体能力を向上させること…
    個人差はいろいろありますが、いずれにせよ莫大な気を消耗することを条件に
    人間が遥かに強くなる現象です」
サブは、マスオ、波平、アナゴ、カツオ、中島のことを思い出していた。
彼らが膨大な気を発揮したときに現れる変化も、微妙に違っている。
カティ「結論から言います。甚六さんは覚醒『させられている』んです」
カティに吹っ飛ばされていた甚六が、カティの方に歩いていく。
サブ「そんな…あの力は覚醒どころの騒ぎじゃない!」
カティ「どんな方法かは知りませんが、強制的に甚六さんの体に人間の許容量を遥かに超える
    量の気を流しています。強化の割合はそこいらの覚醒の数倍…その代償として
    甚六さんは理性を失ったものと思われます」
サブ「なんてことを…!」
カティ「戻す方法はあります。甚六さんに『気』を消耗させればいい。
    もっと簡単に言えば、倒せば元に戻ります」
甚六がカティまであと5歩の距離に近づいてきた。
カティ「そして…この機動装甲でも同じことができるんです…こんなふうに!」
カティが機動装甲の手首のあたりを何やら操作すると、再び凄まじい気を発揮した。
甚六との殴り合いが始まる。互いの拳が互いの肉体を、あるいは装甲を破壊するべく
何度もぶつかる。攻撃のたびに気もぶつかりあい、爆発や轟音を巻き起こす。
周囲の破壊の規模はリミッター解除波平VSゼビウスにも匹敵する。
さすがに村人たちも避難し、戦いを見守っているのはサブだけだった。
カティ「これが…機動装甲の最後の力です!」
甚六と互角の打ち合い。カティは必死に叫ぶ。
カティ「甚六さんと同じ、気を利用した強制強化!」
甚六は理性がないためか表情もなく、一方カティは必死の形相だった。
徐々に甚六が押しはじめ、ラッシュに押し負けたカティが一歩後ずさる。
カティ「ご…っ」
苦しそうな表情とうめき声。さらに吐血していた。
サブ「カティくん!」
カティ「ま、けるかあああああぁぁぁぁぁ!!!」
追い討ちをかけて三連コンボをかけてきた甚六の攻撃をものともせず、
大地を踏みしめ、体をしならせ、拳に全ての気を集中して渾身の正拳突きを
甚六に叩き込んだ。命中の瞬間に爆発が起こり、周囲数十メートルが巻き込まれる。
爆炎の中心には、倒れた甚六とひざをついたカティがいた。
サブ「勝った……のか」
カティ「甚六さんは心をなくしたことで弱さをなくしたけど、
    僕は何がなんでも負けたくないと思った……それが勝敗の差……」
カティは再び吐血し、その場に倒れた。
サブ「どうしたんだ!勝ったんじゃなかったのか!?」
サブが駆け寄って、カティを抱き起こす。

カティ「サブさんの鎧には防御力の強化、回復能力と鎧の自己再生能力を付加しました…
    重傷のサブさんを助けるにはそれしかなかったんです…ごめんなさい」
サブ「そんなことより!何が起こった!?この力でカティくんを治せないのか!」
カティ「無駄です…今の僕は膨らみすぎた風船みたいなもの…元に戻せないんです。
    大丈夫です、サブさんの鎧にはそんな物騒な機能はついてません」
サブは、俺が聞きたいのはそんなことではない、と首を振る。
サブ「だからって死ぬことはねえだろ!」
カティ「僕の体は…体を流れる気の強度に耐え切れずに…破裂します」
サブ「!!」
カティ「小さいころ、先代がそうなったのを覚えてます…僕の体がそうなることを感じています」
一コマだけ回想シーン。その破裂とやらをシルエットでかなりぼかして描いてある。
サブ「…何か言い残すことは?」
サブは覚悟を決めた。この少年の死を受け入れ、看取る覚悟を。
カティ「甚六さんは手当てすれば元に戻せます…彼がまだ死なずにいるのは彼が強いからです…
    僕には…これに耐え切れるだけの強さがなかった…」
三度目の吐血をした。サブは黙って先を促す。
カティ「破裂は嫌なので…サブさんの手でとどめをさしてください」
カティはサブの支えを振り切って、立ち上がる。
カティ「一撃でお願いします」
サブはそれを受け、構えをとる。
カティ「サブさん…僕たちは仲間ですよね…っ!」
四度目の吐血。ひざが落ちかけるが、力を振るって立ち続ける。
サブの拳がカティの胸に命中した。
カティ「……」
カティはそのまま後ろに倒れて、口をパクパクさせた。何と言っているのかはわからない。
やがて動かなくなる。死に顔は安らかだった。
サブ「………」
何も言わずカティの亡骸を抱える。そこに村人たちが近づいてきた。
村人A「…その子は…村の守護者として戦うことが嫌いだったみたいです……
    でも、あなたに会えたことに感謝して死んでいったと思うんです」
村人B「ボク、カティくんが戦ってるのを見てなにもできなかった…」
サブ「そうか…それなら、こいつを弔うのを手伝ってくれないか…」
歩き出すサブの背中をみて、村人たちがついていった。
サブ「仲間だと思っているから……」

煽り ここに終わった、一つの戦いと一つの命……

06/09/16のバレ

村の長老「こんな戦いをすることになるとはの…」
長老B「我々と帝国の小競り合いはしょっちゅうじゃったが、このような大規模な戦闘は初めてかの」
長老C「しかしTARAを放っておくわけにはいくまい。神歩と戦わせればこんな島など簡単に……」
若者「陣形は整いました!戦いの準備はそろっています!」

ムニル「総員戦闘配備完了」

長老たちが号令を出す。「いざ!」
ここで見開き。両軍が激突する。
目標はTARAを殺すこと。建物への進入が第一目的なので、正面突破を狙った陣形。
村人たちは剣、槍、斧、弓矢、それぞれの武器を携えて戦っていく。
兵士の質は帝国のほうが上のようで、概ね帝国のほうが優勢。特に上級兵は強く、帝国製の武器をもって
次々と村人たちを倒していく。気で斬撃を繰り出す剣、持ち主の意思で伸縮自在の槍、殴ったと同時に
爆発する棍棒、力学を無視して対象を打ち付ける鞭、などなど。
(チャクラムを持っている者もいたが、1コマだけだったのでいまいち効果がわからない)
戦士たちは武器を振るい、肉を切り裂き、体を貫き、血を流す。
何十人、何百人と。それでも戦いはまだ始まったばかり。
帝国は、正面突破を迎え撃つ隊列の両翼に、敵を挟撃する部隊を配置しており、陣形的にも帝国側が有利。

参戦していなくても、この戦いを見ている者たちがいた。
オーディス「戦況はこちらが有利。言うまでもないことだな」
ゼビウス「やはり我らの敵は磯野のみということか」
ルーフはこの場にはいない。二人はモニターのようなもので戦いを見ていた。
(もちろん現代科学のものではなく、帝国製の機械であろう)
ゼビウス「結果の決まった戦いなど見るまでもない。この中に注意するべき強者などおらぬ」
オーディス「…いや待て、あれは!」
モニターの中の何かを見て驚いている。
一方、彼らとは別に戦いを見ている者もいた。
ワカメ「よくも子供にこんなショッキングな場面を見せるわね」
言ってるワカメも本気ではないようで、イクラがモニターを見ているのを止めようとはしない。
もちろんワカメらがいるのは、オーディスらのいる部屋とは別の場所である。
黒フード「神歩の力を発揮してもらうためでございます……」
ワカメ「見たものを現実にする能力ね…具体的にどういうことなの」
黒フード「見たものを自分の力にする能力とも言われていますが……正確な伝承は伝わっていないのです。
     TARAと神歩の戦いはすべて伝説の中…ただ、この戦いを見ることで神歩の力は飛躍的に高くなるはずでございます」
イクラ「チャーン」
ワカメ(私は自分の力を示したくてイクラちゃんをTARAと戦わせようとしている……
    でも、イクラちゃんはどう思ってるの?)
物思いにふけるワカメだったが、モニターに写った何かを見て、驚愕の声をあげる。
ワカメ「あれは!」

戦場にはアナゴがいた。敵の持つ武器をものともしない圧倒的な強さで帝国兵たちを屠ってゆく。
アナゴが討ち取った数は、軽く数十人。突然現れた強者に、帝国側の隊列は大きく乱された。
もともと数で劣っているだけに、被害は大きい。
オーディス「上陸の報告のない敵が何人かいるが、こんなところにいるとは計算外だったな」
ゼビウス「どうする?我々のどちらかが行くか」
オーディス「『あれ』を使う」
ゼビウス「どちらの『あれ』を?」
オーディス「その男……アナゴとわたりあえるほうの『あれ』だ」
快進撃を続けるアナゴは、兵隊の壁を破って遺跡の入り口付近までたどり着く。
そのとき、遺跡の中から一人の人物が現れた。
アナゴ「フグ田くん…」
マスオの様子はただ事ではなく、やはり返事はない。見た感じ、すでに覚醒している。
アナゴ「もしかしたら部長はこれを予期していたのかもしれないな……」
アナゴ「敗れたうえに操り人形にされるのはこの上ない屈辱だろう、フグ田くん
    …私が楽にしてやるからな……完全体、開放!!」
アナゴが放った気に周囲がざわめく。「あれで本気じゃなかったのか」などと兵士たちが感想をもらす。
先制攻撃はアナゴ。いきなりラッシュをかけるが、全て絶妙の間合いとタイミングでかわされる。
アナゴ「さすがだ、フグ田くん!」
次の一撃は命中したかに見えたが、(絵のうえでは残像のマスオの胸板をアナゴの拳が貫いているという形で表現している)
これもかわされ、マスオのカウンターの一撃が決まる。

オーディス「素晴らしい技だ。気の流れに逆らわずにじっと好機をうかがう」
ゼビウス「しかし強化されたようには見えぬ。奴には洗脳しかしておらぬのか?」
オーディス「マスオの技術体系はマスオ自身の力、体の構造、気の流れなどを基礎として構築されている。
    自身が修行したならともかく不自然な強化を施せばそれが隙となるかもしれないのだ。
    今は純粋にマスオの持つ強さで戦っていると見ていいだろう……」

カウンターを受けて倒れていたが、すぐに立ち上がる。
アナゴ「楽にしてやろうなんて考えが甘かったよ。私が戦う相手はフグ田マスオ!
    全身全霊をもって倒さなければならない、親友にして宿命のライバルだ!!」
アナゴはそれまで以上の気合で吼えた。

煽り 友だからこそ、戦う!

06/09/19のバレ

アナゴ「いくぞ、フグ田君!」
アナゴが仕掛ける。
突き、ミドルキック、足をついたら間を空けずに回し蹴り、
マスオに背中を向けてしまうが、さらに後ろ回し蹴り、
休む間もなくフックとストレート。
次々と攻撃を仕掛けるが、マスオ独特の「かわし」の技術でわずかに攻撃が届かない。
マスオに攻撃させる暇を与えないようにと次々と技を繰り出すが、
逆にストレートで腕が伸びきったところを懐に入られ、アナゴのほうが
まともに攻撃をくらってしまった。

オーディス「攻撃は最大の防御と言いたいところだが、マスオの前では無意味か…」
アナゴとマスオの戦いを観戦している。絵には戦いが描かれていて、
セリフだけが吹き出しで示されているという形になっている。
ゼビウス「なるほど、強いな…我らがあれと戦うとしたら…」
オーディス「お前なら力で押し込めば互角以上に持ち込めるだろう。
     ルーフの『囮を避けさせて本命を当てる』戦い方は相性的に有利だろう。
     私の場合はこの義眼がどこまで動きを見切れるかが鍵になるな……」
ゼビウス「勝つにせよ負けるにせよ楽に戦える相手ではあるまいな」

大局的には「かわし」の技術で避けつづけるマスオにアナゴが苦戦を強いられている。
今度はワカメらが観戦しながら。
黒フード「このような戦いを見れるとは意外でしたが、もう勝負は決まっていますな」
ワカメ「いいえ、アナゴさんはこれで終わる人じゃないわ」

アナゴ「フグ田君、君の技のキレはあのとき以上だよ。だが、これまでだ!」
勝利宣言ともとれる発言だが、余裕を見せるようなことはなく、
むしろ気合を前面に押し出している。マスオに押されてダメージを負っているせいか。
アナゴはまたもやラッシュを続ける。マスオはかわし続けるが、途中で無理な動きや
体勢をとることは一切なく、全く隙を見せない。
そして、アナゴのパンチをかわしてクロスカウンターを入れようとしたところで。
アナゴ「そこだ!」
これまでの戦い方を全く無視して体当たり。二人とも体のバランスを崩す。
アナゴ「ぶぅるああああぁぁぁぁ!!!」
そこを逃さず、ラッシュで叩き込んでいった。
すぐにマスオも体勢を立て直して「かわし」の技術を見せるが、
その行動をアナゴに読まれ、まともに攻撃をくらう。

ゼビウス「形勢逆転か」
オーディス「一応マスオの体にも仕掛けがしてあるのだがな……」
ゼビウス「なに?」
歯切れの悪い物言いに、ゼビウスは少し不審そうな表情。

アナゴ「フグ田君の技は完璧だ!だからこそ私が勝てる!
    洗脳だかなんだかわからないが余計なことをしたのが仇になったな!」
今度はアナゴのほうが優位に立っている。

ワカメ「洗脳を施したことで本能だけで戦うようになって、マスオ義兄さんの
    『かわし』の技術が完璧に発揮されてる。でも、それを知り尽くした
    アナゴさんはマスオ義兄さんがどう『かわす』かを読みきっているんだわ。
    本来なら理性でもってその読みをかわせるけど、今は洗脳が理性を奪って
    しまっている…」
ワカメ「今のイクラちゃんが神歩の力を発揮できたとしても、絶対的に戦闘経験が
    少なすぎるわ。持ち前の力に加えて堅実な修行をしてきたTARAに勝てるのかしら」
ワカメが黒いフードの男をふりかえる。
黒フード「……神歩の力は絶対なのです……」

マスオに容赦なく攻撃をくわえていく。マスオも洗脳されたとはいえかわすしか能がない
わけではないようで、ダメージ覚悟でアナゴに反撃するような場面もあった。
アナゴ有利とはいえ、総計すればかなりのダメージを負っていると見られる。
アナゴ「これで、終わりだ!!」
アナゴの拳がマスオの顔面に命中。マスオは耐え切れず、その場にくずおれた。
これで終わりと言っておきながら、さらに叩きのめそうとして近寄っていく。
アナゴ「!?」
もはやトドメをさすだけだったはずのアナゴの表情が一変した。倒れているマスオから
徐々に気が発せられており、やがて甚六のときを上回るほどの勢いになっていた。
アナゴ「君の身に…なにが起こっているんだ……?」

部長がひとり、書類らしきものを眺めている。その表情は熱心なようでもあり、諦めがあるようでもあった。
それはただの書類ではなかった。TARA覚醒計画に関わった社員たちを始末したときに、研究資料も押収した。
そのとき、計画とは別に個人的興味から研究をしている者がいた。個人の行動だったために、
サケオにその存在が知られず、その資料は処分を免れたのだ。
部長「アナゴくんがこれを知ったらどう思うだろうな……」
部長は書類のある部分に目をおとす。
部長「無限覚醒か…」

仁王立ちするマスオの前に、血まみれのアナゴが倒れていた。

煽り 力の前には、ただ倒れ伏すのみ…

06/09/23のバレ

超然と佇むマスオの前に、血まみれのアナゴが倒れ伏している。
村人たちどころか、帝国兵たちでさえ恐れ戦いていた。

ゼビウス「あれがお主の言っていた仕掛けか?」
オーディス「いや…私はマスオが傷つき倒れたときに回復と強制強化をするように仕掛けただけだ」
ゼビウス「ではあれは何者なのだ」
オーディス「わからぬ。覚醒したところにさらに覚醒したということか……」
ゼビウス「そんなことが…!」
オーディス「マスオを帰還させて分析する。あの力、TARAをも脅かすかもしれん」
ゼビウス「………」

アナゴ「ま……て……」
踵を返して立ち去ろうとしたマスオの足首をつかむ。
マスオは何も言わず、一度だけ振り返ってアナゴの頭を踏みつけた。
見ていた者たちから悲鳴があがる。
嫌な音がしてアナゴは動かなくなった。
今度こそマスオは立ち去っていく。敵も味方も、マスオがいなくなってくれてホッとした様子だった。

ワカメ「なんなの、あれは…?」
黒フード「わかりませぬ……」
こちらもあまりの衝撃に驚きを隠せない。
イクラ「チャーン」
ワカメ「…イクラちゃん?」
イクラのただごとではなさそうな様子に戸惑っていた。
サザエ「味方どころか兵士にすら出くわさないなんてね…」
当面の目的はマスオの奪還か、オーディスを倒すこと。しかし、そのどちらも居場所がわからない。
サザエ「誰か居場所を掴んでる人はいないかしら…」
そこで、一人の人影が走っていくのが見えた。
サザエ(あいつと戦うまで体力は温存しておきたかったけど…
    手がかりかもしれないものを逃すわけにはいかないわね)
渋々ながら走って追いかける。
サザエ(この部屋は…)
たどり着いた部屋には、しかし、建物の中とは思えない町並みが広がっていた。
サザエのいる町である。ただし、雰囲気が少し古臭い。
サザエ(ここは立体映像の部屋…なんでこんな映像を?)
「俺から説明させてもらおう」
部屋の中に声が響く。
「俺は三元老の一人、ルーフ。オーディスから話を聞いた。TARAの戦いの記録を再現できるなら
俺も興味があるのでな、ここに誘導させてもらったというわけだ。俺もあんたと戦ってみたいのだが、
せっかくだから舞台を整えてそれにふさわしい相手に来てもらった。見覚えのある相手だと思うが」
さきほどの人影が現れた。今度は若く美しい女性の姿がはっきり見えている。
そして、その姿は読者にとっても見覚えのある人物だった。
サザエ「…母さん?」
フネ「アタシにはまだ子供なんかいないよ!」
サザエの前に現れたのは、若い頃のフネだった。
ルーフ「戸惑うのも無理はない。いるはずのない人間が目の前にいるのだからな。
    詳しい説明は省くが、フネの肉体が最も頑強だったころまで若返らせたのだ。
    そして、混乱を避けるためと我々の命令を聞くように記憶をいじってある。
    説得は無駄だと思ってくれ」
いきなりフネのほうから仕掛けてきた。
フネが繰り出す連続蹴りを、4発まではかわしたが、5発目でくらってしまう。
サザエ(技の速さも重さも、私より断然上だわ……)
サザエ「母さん待って!今の私たちに戦う理由なんかないわ!」
フネ「うるさいね!本能が告げてるんだよ、アンタを倒せってね!」
サザエ「それは本能なんかじゃ」
フネ「問答無用!!」
会話を一方的に打ち切って、蹴りを放った。サザエは大きく後ろに飛んでかわす。
サザエ「いくら言っても無駄なら…」
今度はサザエのほうから仕掛ける。激しい応酬を繰り広げるが、サザエが押されていた。
フネ「それでアタシに勝つつもりかい!?」
押し勝ったフネの三連撃がサザエに襲い掛かる。しかし。
サザエ(ここよ!)
サザエ「はっ!」
サザエ「やあっ!!」
サザエ「だぁーーーっ!!!」
フネの攻撃を受けながらも、必殺拳『熟拳』『神拳』『波砕昇』を叩き込んだ。
双方ダメージを負い、後ろに吹っ飛んで壁に激突した。
フネ「思ったよりやるね…」
サザエ「本当にわからないのね」
フネ「なんだって?」
サザエ「今のは母さんの技よ。体が覚えてると思ったけど」
フネ「しつこいね!アタシはあんたなんか知らないよ!」
タンカを切るフネに、サザエは鋭い視線を向ける。
サザエ「戦うしかないってことね。私がその頃の母さんを超えているのかどうか…
    試させてもらうわ!!」
サザエはフネを見据え、全身に次元気を纏った。

煽り 時を越えた対決!

06/09/26のバレ

1ページ目からサザエとフネが全力で打ち合いする。
サザエが左腕を負傷しているせいもあって手数でフネが勝っているが、
フネの攻撃はサザエの次元気に阻まれてしまう。
フネ「届かない!?」
フネのわずかな動揺を狙って、アゴを狙い済ました一撃がフネに命中した。
フネは体をよろめかせるものの、鋭い目でサザエの体のある一点を見据える。
フネ「そこだねっ!」
速く鋭い蹴りは、今度は次元気の防御を破ってサザエに確実なダメージを与えた。
サザエは思わず蹴られた腹部をおさえてうずくまる。
フネ「おかしな技だけど、もう見切ったよ」
サザエ「わずか1分で弱点を見破るなんてね……」
しかし、サザエはニヤリと笑う。
サザエ「でも今の母さんなら10秒で見破ってたわ」
フネ「私には娘なんかいないって言ってるだろ」
サザエ「記憶が当時の母さんそのままってことは、戦闘経験や判断力も当時のままなのね。
    その肉体と今の母さんの頭脳を持ち合わせてたら勝てる気はしなかったけど、
    今ここにいるあなたになら勝てる!」
フネ「いちいち腹の立つこと言う女だね!誰がアタシに勝てるって!?」
再び蹴り。その一撃は確実にサザエをとらえるかに見えたが、
サザエがわずかに左にステップすると、蹴りは次元気に阻まれた。
フネ「完璧に入ったはず!?」
その表情と口調には動揺が見られた。サザエに余裕の笑み。
サザエ「次元気の隙間はほんのわずか。あなたにとってみれば、ほんの小さな点を狙って
    攻撃しなきゃいけない。そもそも動いている私を相手にそんなことができること自体が
    達人レベルだけど、ちょっと不規則な動きで打点をずらせばそれも困難になるのよね」
サザエ(それだけの技量を持った敵がぞろぞろいることも問題なんだけど)
これまで『絶』を使った相手は何人かいるが、その全員に破られている。
フネ「やってみなくちゃわからないよ!」
フネはヤケになったかのように連続攻撃を繰り出すが、サザエが小さなステップを踏んだだけで、
あるいは体をちょっとひねっただけで打点をずらされ、次元気の防御に阻まれる。
サザエ(自分でもやりにくいわね、この戦法は)
わざとセオリーを無視した動きをすることで敵の攻撃をはずしている。
急造でサマになるほどうまくはいかないらしい。
サザエ(ここだわ!)
フネの足元にわずかなスキが生じた一瞬を見逃さず、右のローキック。
フネ「甘いね!!」
しかし、そこが逆にフネの狙いだった。サザエのキックをジャンプしてかわし、
そのまま飛び蹴り、今度こそ『絶』を貫いてサザエの頭にクリーンヒットした。
サザエは倒れそうになるが、そのまま受身をとって転がり、フネから距離をとった。
フネ「滅茶苦茶なステップはともかく、攻撃はきちんとやらないと話にならない。
   その瞬間だけは、私にもアンタの動きを読むことができるのさ」
今度はフネが余裕の笑みを浮かべた。
フネ「アタシにそんな小細工は通用しないよ!」
サザエ「なら……力で勝負よ!」
サザエが磯野砲の構えをとった。
フネ「その技は…!」
サザエ「磯野砲!!」
その手から放たれた気の奔流はフネに向かって直進する。
フネ「は!!!」
何をどうやったのか、フネは磯野砲をさばいてしまった。
フネに当たらずにそのまま後ろに飛んでいった磯野砲が大爆発を起こす。
サザエ「そんな……」
さすがにサザエもおどろいている。
フネ「それはあの人の技……一体どうして!?」
サザエ「私がその人の娘だからよ。そしてあなたが母さんよ」
フネ「私が…あの人と?」
サザエ(そんなにショックなのかしら?この場合はタイムパラドックスの心配はないわよね?)
フネ「まあいいわ。まずはアンタを倒す。あの人を倒すのはそれからにすればいい」
サザエ「(いくら言ってもわかってくれないみたいね…)
    ……あなたは強いわ。『絶』だけでどうにかできる相手じゃないし、
    今は『砕』を使うわけにはいかない。かと言って負けるわけにもいかないの」
フネ「だからどうしたんだい?」
サザエ「だから使わせてもらうわ。紫潮闘法第三の奥義を!」
フネ「その奥義とやらで勝ち目はあんのかい!?」
サザエ「うまくいくかどうかはわからない。でもやるしかないわ。
    今こそ私は、あなたを、母さんを乗り越える!!」
戦いの構えをとるサザエとそれを迎え撃つ姿勢のフネのにらみ合いでラスト。

煽り 見よ、第三の奥義!!

06/09/30のバレ

フネ「第三の奥義ね…そんなにすごいものなら見せてもらおうじゃないか!」
サザエ「いくわよ!」
フネ「…おや、さっきの防御と一緒に使えないのかい?」
フネの指摘のとおり、サザエは『絶』を解除していた。
サザエ「そうよ。今の私には二つの技を併用できるだけの技量がない。
    だから、この技ひとつの賭ける!!」
その台詞とともに、サザエのストレートがフネの顔面に向かってゆく。
フネ(フン、ただのパンチかい)
右半身を後ろに引いてパンチをかわそうとするが。
フネ「!?」
いきなりパンチが加速してきた。突然の変化に対応しきれず、まともにくらって吹っ飛ぶ。
フネ(なにがあったんだい…?)
サザエの技を理解できなかったものの、すぐに動揺を消して、倒れた姿勢から体のバネを使って
サザエに胴回し後ろ回転飛び蹴りを仕掛ける。
しかし、空中で突然足が止まってしまった。回転蹴りの途中のポーズのまま地面に着地する。
フネ(さっき足に感じた手ごたえは……)
間をおかずに、フネはサザエに足払いをかける。
サザエはそれをジャンプしてかわす。空中でスキだらけになったサザエを撃墜しようとするが、
サザエは空中で突然横に回転して、その回転の力を利用してフネに蹴りを叩き込む。
フネ「このっ!」
ありえないサザエの動きに動揺せず、蹴られると同時に正拳突きを叩き込んだ。
相打ちになって二人とも吹っ飛ぶ。
サザエ(『流』を使ってやっと互角なのね…)
フネ「なんとなくわかってきたよ……」
二の句を告げるまえにフネはサザエの左腕めがけて素早い右キックを放つ。
そのキックがサザエの左腕に届く寸前に、帯状の形をした次元気が横切って、フネのキックを止めた。
フネ「やっぱり負傷してる左腕を防ぎにきたね!」
そのスキを狙って左フックでサザエの顔面を狙うが、サザエはそれを右腕でガードする。
両腕を使ってガードががら空きになったところに、フネの右ストレートがヒットした。
フネ「その帯みたいなやつが『第三の奥義』だね」
サザエ「そうよ。次元気を私の体から離して自由自在に動かす。単純に見えるけど、
    『絶』や『砕』と違って私の体から離さなければならない分、難易度は『砕』の数倍。
    第三の奥義の名は『流』!地味だと思ったでしょうけど、いくらでも使いようはあるわ!」
サザエがパンチを放つ。次元気は拳を押して、強引に加速させる。
フネ「二度もくらうかい!」
急加速した拳を、すんでのところでかわした。
フネ「その技の弱点は、その帯が一つしか出せないってことだね!」
フネがクロスカウンターを仕掛けてきた。次元気はサザエの拳にくっついていたため、ガードできない。
サザエ「使いようはいくらでもあるって言ったでしょ」
フネ「!?」
帯状の気がフネの腕に縛りついて、腕がその場から動かせなくなっている。
クロスカウンターをやろうとした姿勢のまま、スキだらけのフネをサザエはここぞとばかりに攻める。
フネも反撃しようとするが一方的。サンドバック同然に攻撃を受けまくる。
フネ「なめんじゃないよっ!」
そのまま黙っているフネではなかった。次元気の戒めを解いて反撃に出る。
しかし反撃を食らう前に次元気がサザエを後方に押しやって距離を離した。
フネ「アンタの技はまだまだ未熟だね!そんなものにやられるアタシじゃないよ!」
サザエ「そうよ、私はまだ未熟。だからこそ、これから強くなってみせる!!」
サザエはフネに向けて磯野砲の構えをする。
フネ「吹いてるんじゃないよ!そういうことはアタシに勝手から言ってみな!」
サザエ「受けてみなさい…磯野砲!!」
フネ「効かないよ」
フネに向けて放たれた磯野砲をまたもやさばいてしまう。しかし、受け流された先には次元気の幕があった。
次元気が磯野砲を乱反射させる。その先に次元気の幕が回りこんでは、また乱反射させる。
結果、磯野砲がフネの周りを不規則に乱反射し続ける。フネにとっては、いつどこから飛んでくるかわからない。
フネ「小癪なっ!」
フネは後ろから来た磯野砲を受け止めようとした。
サザエ「こっちよ!」
そこを狙ってサザエがフネの後頭部に飛び膝蹴りをくらわす。さらによろめいたフネに。
サザエ「磯野砲!!」
サザエの眼前で起こる大爆発。零距離の磯野砲をさばくことはできず、フネはまともにくらった。
フネ「ま…だ……!」
フネはよろめきながらもなお立ち上がる。
サザエ「まだ立てるなんて……」
フネ「ここまでやられた以上、アンタは強いと認めなきゃいけないさ。
   だからってアタシが負けるわけにはいかないんだよ!」
サザエ「…だったら、この技を受けてみなさい!」
サザエは磯野砲と同じ構えをする。ただし磯野砲と違い、普通の気ではなく次元気を圧縮させている。
サザエ「『砕』と『流』の複合技……次元砲!!!」
球状の次元気がフネに向かって飛んでゆくと、フネの命中した球は『砕』と同様に
外気と次元気の衝突による衝撃波を生み出す。
『砕』は無音だが、この技はその衝撃とともに轟音が鳴り響き、フネを吹っ飛ばした。
フネは壁(現在は昔の町並みが背景になっているので、その中の建物の壁)に衝突して、
そのまま倒れてうごかなくなる。サザエはしばらく動けず、部屋は静寂に包まれた。
サザエ「……母さん?」
サザエの呼びかけにフネは反応一つない。
サザエは疲労に襲われて膝を地面についた。思わず安堵の表情を浮かべる。
サザエ「…勝っ……た……私、母さんに勝った……」

煽り 親子対決、決着!!

06/10/03のバレ

帝国兵と村人たちがぶつかりあう戦場。しかし今は戦う者はおらず、膠着状態だった。
その間に傷の手当てなどをする者もおり、忙しいことは忙しい。
長老A「やはりこのままでは帝国には勝てぬ…まだ戦いは再開せぬだろうが……」
長老B「まだこの者たちの戦いの衝撃が抜けきっておらんのだろうな」
そう言って彼はアナゴをチラリと見る。アナゴはダメージを負っているためピクリとも動いていないが。
長老C「あの敵の強さは化け物としか思えないが、あれだけやられて生きているこの者も十分化け物だな」
長老D「とはいえこのままでは助かるまい。相応の処置をしてやらなければ」
長老B「命の保証はないと言っておいたのだ。死ぬのなら本人の責任だ」
長老A「うむ。傷ついた者たちがあれを使う順番を待っておる。この者にまわしてやる余裕などない」
長老D「だからと言って見捨てるわけにはいかない。そんなやり方は帝国と同じではないか」
長老C「この者が戦ってくれるなら誰よりも頼れる力となる。なんとか説得すれば……」
長老たちが話し合っているところに、どこかの村の若者が入ってきた。
若者「大変です!TARAが、TARAが現れました!!」

戦いを終えたサザエが膝立ちで呆然としている。
と、そこにルーフが入ってきた。
サザエ「あなたは!」
ルーフ「そう、俺がルーフだ。今は戦う気はない、というよりお前も戦えないだろう」
サザエ「なんですって!?」
ルーフ「敵である俺が来たというのに膝立ちのままではないか。さっきの技は相当に疲労するのだろう」
サザエ「……それなら試してみようかしら」
サザエは立ち上がってルーフを睨みつける。
ルーフ「戦う気はないと言っただろう。俺もお前と同様、もう一度戦いたい相手がいるのだ」
サザエ「?」
ルーフ「それよりもだ、俺がここに来たのはな」
ルーフがなにやら操作すると、今まで町を映していた立体映像が、外の風景に切り替わる。
サザエ「タラちゃん!?」
そこに悠然と佇むタラオに数十人の村人たちが襲いかかろうとしている。
もちろん帝国兵たちもそうはさせまいと戦う態勢になっている。
ルーフ「これは現在外で起こっていることだ。ここからでは干渉できんがな」
サザエ「いけない!やめさせないと!」
ルーフ「心配するな。この程度の敵にやられるTARAではない」
サザエ「だからよ!私がタラちゃんにしてほしいのは闘いであって殺戮じゃない!」
ルーフ「どちらも大して変わらないと思うがな……とにかく、これから起こるのは闘いだ」

「チャーン」
聞き覚えのある声が響くと、突然イクラが現れた。
タラオ「イクラちゃんですか…」
イクラ「ハーイ」
タラオ「昨日みたいに情けない戦いだったら許しませんよ」
その言葉が戦いの合図の代わりなのか、いきなりパンチを放った。
イクラ「cha-n」
イクラが前に手をかざすと、手の平大の平らな板状のバリアが現れて、タラオの拳をそこで止めた。
タラオは無理やりバリアを貫こうと拳を押し込めるが、バリアを破ることはできない。
イクラ「ha-i」
バリアが光ると、タラオを弾き飛ばした。
タラオ「昨日とは違うみたいですね」
数メートル後ろに転がされたタラオが起き上がって、一層真剣な顔つきになる。
サザエ「イクラちゃん…なんで」
ルーフ「俺が聞きたいことというのは……あれはもしかして神歩なのか?
     伝説のみに伝えられている、TARAに唯一対抗できる力を持つという…あの神歩なのか?」
サザエ「隠してもあまり意味はなさそうね。イクラちゃんが神歩かもしれないという話は聞いたわ。
     ……あなたがTARAを援護しようというのなら私はやめさせなきゃいけないわね」
ルーフ「お前はTARAの母ではないのか?」
サザエ「私はタラちゃんの母よ。あの子は試練を乗り越えようとしている。
     その相手として一番の親友を選んだ。私はそう考えてるの。
     あの戦いを止めようというのなら、私がそうはさせないわ」
ルーフ「そんなつもりはない。俺も戦いを見守ることにしよう」
ルーフ(オーディスの狙いは…そううまく行くものなのか……?)
心の中でだけ、なにやら意味深なことを呟く。

ワカメ「これまでは…十分TARAに対抗できてるわね」
黒フード「対抗どころではありません…神歩はTARAに打ち勝つ存在なのです」
ワカメ(でも、TARAの力だってまだこんなものじゃない…
    イクラちゃんをこんな危険な戦いに晒して、本当によかったの?)

イクラ「ha-i」
イクラがタラオに掌を向けると、その掌から気の攻撃を放った。見た目は磯野砲に似ている。
タラオ「磯野砲!!」
対抗してタラオが磯野砲を放つと、イクラの攻撃はかき消され、タラオの磯野砲はほとんど
威力を減じることなく、イクラを飲み込もうとしていた。
タラオ「こんな程度ですか」
イクラ「cha-n」
磯野砲が爆発を起こす。砂埃が収まったあとには、イクラが平然と立っていた。
バリアでも張っていたらしい。
タラオ「そうですね…こんな程度で終わってもらっては困ります。さあ、僕と戦ってください!」

煽り 宿命の戦いが、いま始まる!

06/10/07のバレ

オーディスが、何かの機械のようなものに磔にされたマスオを調べている。
オーディス「覚醒してもなお眠っている『気』がある…こんなものは初めて見た……
    先ほどのあれはこの『気』が目覚めていたということか。
    もしやTARAもこうなっているのか……?」
機械には様々な測定結果らしきものが示されているが、何が書かれているのかはわからない。
帝国兵「オーディス様!」
突然、帝国兵が慌てた様子で割り込んできた。
帝国兵「ムニル様との通信は切断されているのですか?
    この事態に何の動きもないものですから気になりまして……」
オーディス「この事態?」
オーディス(そういえば、ずっとこちらに夢中になっていたな)
義眼はノータッチで操作できるのか、動作は何もしていないが、急にその表情がかわる。
オーディス「これはTARAと…もしや、神歩か!?」
帝国兵「そうかもしれない、と誰もが言っています」
オーディス「確かにこうしてはおれないようだな…」

イクラ「ha-i」
イクラが手刀を振りかざすと、古代帝国の武器と同じように、ソードビームが出てきて
タラオに襲い掛かる。タラオは気を高めてガードするが、腕が浅く切り裂かれた。
イクラ「babu-」
イクラの拳を纏う気が炎のように燃え上がり、タラオに襲い掛かる。
タラオ「やりますねっ!」
まともにくらってはいけないと判断したのか、拳を避けてからイクラに蹴りを叩き込む。
カウンターの形になったが、イクラが防御壁を出しており、直撃は免れた。
ワカメ「言霊? 言霊って…」
モニターのようなもので観戦しながらワカメが疑問を露にする。
黒フード「言葉そのものに宿っている力のことでございます」
ワカメ「そんなことはわかってるわよ。イクラちゃんは言葉なんか使えないじゃない」
黒フード「神歩ほどの存在になれば意味を持っている言葉など必要ありません。
    いえ、むしろ意味など邪魔になるだけです。神歩は言葉ではなく意志を発するのです」
ワカメ「イクラちゃんだからこその能力なのね…」

ルーフ「あの技は、我ら帝国の武器の模倣だ」
こちらは立体映像を使って観戦している。
サザエ「見たものを現実にする能力…?」
ルーフ「先ほどから外では大規模な戦いがあった。その中には我ら帝国製の武器を持っている者もいた。
    お前も何人か戦ったことがあるだろう」
サザエ「あの変な武器のことね」
ルーフ「間違いない。帝国の武器は、神歩に技を与えるために作られたのだ」
サザエ(え?)
突然浮上した説に戸惑う。
サザエ(神歩は帝王の敵じゃないの?)

イクラがタラオにハイキックを仕掛ける。そのまま行けばタラオの顔面にヒットするが、
大きな動作の一撃を、タラオはこともなくガードした。
イクラ「cha-n」
蹴りが叩き込まれた瞬間、接触部が爆発を起こす。これも帝国の武器に似たような効果の棍棒があった。
しかしタラオは爆発の瞬間、後ろに飛んで威力を殺していた。転がりながら受身をとる。
タラオ「そろそろ僕からもいきますよ」
タラオの猛攻が始まる。パワーだけなら誰にも劣らないTARAの拳が次々とイクラを攻め立てる。
イクラ「cha-n」
タラオが拳を打ち込むたびに、イクラに当たりそうな箇所にバリアが現れ、攻撃を防いでいる。
タラオ「まだですよっ!」
それでも攻撃が止むことはない。休むことなく攻撃を続けると、やがてバリアにヒビが入ってきた。
次の一撃を受けて、バリアは音をたてて割れてしまう。
さらに次の一撃がイクラにクリーンヒットする。あらゆるものを破壊する拳が、イクラをとらえた。

ワカメ「やっぱりイクラちゃんには戦闘経験がなさすぎるわ。
    いくらTARAに対抗できる力があったとしても…助けないと!」

突然、一条の光線がタラオの後ろからやってきた。
タラオ「!?」
それに気づいたタラオは、とっさに反応して光線をかわした。
イクラ「cha-n」
イクラが鏡のようなバリアを張ると、光線が反射され、タラオに向かってゆく。
それをかわしきれずに肩にくらってしまう。
オーディス「なんてことだ!TARAが!!」
光線を放った人物、オーディスが慌てて駆け寄ってくる。
オーディス「ここは一時退却を!」
そう言い残して、タラオを強引に戦場から離した。
イクラもいつのまにかいなくなり、戦場の様子はタラオが現れる前に逆戻りしていた。

サザエ(うまくごまかしたつもりかもしれないけど、あいつは…)

ワカメ「あいつは、タラちゃんを狙ってたわ。私にはわかった。一体どういうことなの?」
黒フード「私にはそのようには見えませんでした…」
問うワカメと、何もわからないといった顔に黒フードの男。
ワカメ「………」
しかし、ワカメは不信感を隠せないでいた。

煽り 中断、疑問、疑惑…

06/10/10のバレ

サザエ「タラちゃんは…」
戦いの光景を中継していた立体映像は、今は何も映していない。
ルーフ「我々はTARAをどうこうするつもりはない。
    神歩と戦わせたいという考えはお前と同じなのだ」
サザエ「なんですって?」
ルーフ「オーディスも言っていたが、次元気を使うことで
    かつてのTARAと神歩の戦いを映像として再生できるかもしれん。
    そして、それはお前たち磯野家の起源に繋がっているかもしれないのだ」
サザエ「………」
サザエ(磯野家の起源……)

西原「ここか…」
男「初めて見た顔だな。ここに何をしにきた」
武装した男が西原に問い掛ける。
西原「そこの気結晶を渡してもらいたいんだ」
つまりここは4つの村のいずれかで、西原はそこの気結晶を入手しに来た。
男「断る。気結晶は我々の村が生きてゆくためには必要なもの」
西原「TARAを倒すために使うんだ。それが終わったら返すよ」
守護者「そうはいかない!これを失うことは命を失うも同じこと。
    この村の守護者として、断じて許すわけにはいかん!!」
西原「だったら力ずくってことになる」
守護者「力ずくだと!?どんな目的があろうと力ずくで命を奪うような
     身勝手な輩に渡す道理はない!!」
西原「身勝手?それはそっちだろ。本当はわかってるんじゃないのか?
   この太平洋の温暖湿潤な気候で少しも草木が生えてない理由を!」
守護者「わけのわからないことを言うな!我々には我々の生き方がある!
     それを脅かす者には立ち向かうのみ!」
西原「やっぱり戦いになったか…」
西原はPCの操作を始めた。
西原(相手はチャクラムのような武器を持ち、鎧を着ている。
   これまで村を守ってこれたのなら、実力はおそらく上級兵をはるかに上回る…)
西原は解析を始める。(チャクラムとは、刃のついた車輪型の投擲武器)
守護者「科学の道具など、くだらん!」
守護者はチャクラムを投げつける。西原はそれを軽々と右に避けるが、チャクラムは
突然軌道を変えて、西原を追いかける。
西原「くっ!」
動作が間に合わず、胸を浅く切り裂かれた。
守護者「手を離れた物は動きを変えないという“常識”にとらわれると、そういう目にあうのだ」
西原「なるほどね」
苦痛を表情に出さないように押し殺しながら、PCを操作する。
守護者「そんなもの邪魔になるだけだ!」
またもやチャクラムが襲い掛かる。不規則な軌道の対応しきれずに避けそこね、
PCが数ミリほど浅く傷がついた。
西原「特殊装甲を施したPCが切られるなんて…手で受け止めようかと思ったけど無理だな」
守護者「満足に避けられないくせに、よくも言ったものだ」
チャクラムが上下左右、微妙なブレで相手を惑わしながら、西原を切り裂こうと迫ってゆく。
西原「いや、もう避けられる」
その言葉のとおり、西原はチャクラムを避けた。チャクラムは前後左右上下、不規則な動きはまるで
蚊や蝿のように、あるいはそれ以上に複雑な軌道で西原に襲いかかるが、
西原はその全てを余裕でかわす。
守護者「私が気で操作しているのだ、動きを読めるはずがない!」
急に西原が避けられるようになったので、狼狽している様子。
西原「今までPCで計算していたのは人体工学や力学全般だったんだけど、それに行き詰まりを
   感じたから、『気』を計算に取り入れてみた。この島に来てから思いついたんだけどね」

西原「人間も道具も、進歩するんだよ。あんたの武器はもう、“常識”の範囲内だ」
西原が守護者に接近していく。チャクラムの攻撃を微妙な動きでかわしながら。
守護者「これでどうだ!!」
今まで何もなかった彼の左手に、鞭が現れた。鮮やかな鞭さばきで、西原を打ち据えようとする。
西原はムチを避けるが、そのムチが急に動いて、西原の両足首に巻きつき、両足を拘束した。
守護者「これでもう動けまい!」
動きを封じられた西原にチャクラムが迫る。
西原「そこだぁ!」
西原が前のめりに倒れかけ、ぎりぎりで守護者に手が届く。
守護者の右手を殴ると、チャクラムの動きが急に止まった。
西原「やっぱりそれで操作してたんだな」
守護者の右手から小さいボタンのようなものが落ちた。
西原「チャクラムが動いているとき、ずっと右手が握られてた。多分リモコンだと思ったんだ」
守護者「ま、まだ鞭がある!」
西原の足首が締め付けられてゆく。
西原「させるか!」
苦痛に顔をゆがめながらも、守護者の鎧の上から殴りつける。鎧の上からだが、守護者には
かなりのダメージだったようで、うめき声をあげる。
西原「その鎧には気の流れがある。流れの途切れた一点を突けば脆いものさ」
守護者「ぐ…やらせるか…!」
足首への締め付けが強くなる。同時に右手で西原を殴る。
西原「やめろ!この!この!!」
西原は何度も急所を殴りつけた。守護者のパンチと足首を襲う苦痛に耐えながら、必死で殴る。
西原「この!!この!!!」
何度も何度も殴りつける。やがて敵の腕は止まり足首を締めつけていた鞭がゆるんだ。
西原「勝ったか…」
守護者には何の反応もない。気絶なのか死んでいるのかは不明。
西原「もっとスペックを上げないとな…PCも僕も」
足首の痛みに耐えながら、西原は気結晶を手に入れた。

煽り 進歩の勝利!そして新たな進歩を誓う…

06/10/14のバレ

ノリスケ「どうしても貰えないなら戦いで決めさせてもらうことにするけど、いいんだね?」
守護者「そりゃこっちの台詞だ。痛い目みる前に帰れ」
守護者は右手にハンマーを持っていた。長さは1メートル、叩く部分の大きさは3〜40センチほどか。
ノリスケ「見てわかると思うけど、僕はこのタイコと一緒に戦う。卑怯だと言われようと、
     僕の子供を危険な目にあわせないためなら、なんでもするつもりだよ」
ノリスケは一緒にいるタイコを示しながら言う。
この台詞からして、つい先ほどイクラが戦っていたことは知らないものと思われる。
守護者「何人で来ようとかまやしねえよ。それでも守るのが守護者ってもんだ」
重そうなハンマーだが、普通に持って構えている。守護者によほどの腕力があるのか、
ハンマーが見た目より軽いのか。
ノリスケ(僕が奴の右手側から攻め込んでハンマーを封じる。君はそこを攻めるんだ)
タイコ(わかったわ)
守護者に聞こえないように打ち合わせする二人。
ノリスケ「いくぞ!」
守護者から見て右がノリスケ、左がタイコという配列でやってくる。
ノリスケ「はっ!」
タイコ「やっ!」
同時に迫ってきた二人が、次々と攻撃を繰り出す。
しかし、その二人がかりのラッシュを、守護者は左手と身のこなしだけでしのいでいた。
ノリスケ(そっちを使う気がないなら!)
ノリスケは守護者の右手を狙って蹴りを放つ。
守護者「それを待ってたぜ!」
守護者は、ハンマーを持っているとは思えないほど素早く振り上げ、ノリスケを叩き潰すように振り下ろした。
ついさっきキックをしたため、下半身が不安定な状態で上からの攻撃を受けることになってしまった。
ノリスケは両腕をクロスさせてハンマーの一撃を受ける。ノリスケは膝を地面について耐えきった。
ノリスケ「今だ!!」
そこをタイコが連続攻撃を決めた。1ページまるごと使ったラッシュで容赦なく叩き込む。
ノリスケ「やったか!?」
しかし守護者は、ダメージはあるものの、まだ余裕のありそうな表情だった。
守護者「いっとくけど、状況はこっちに有利だぜ」
ノリスケ「うっ!」
タイコ「どうしたの、あなた!?」
ノリスケが苦しそうにしていた。膝をついていたノリスケが、今度は手をついた。
ノリスケ「何か、重力をかけられたみたいな感じだ。あのハンマーの効果か…?」
守護者「そうさ。この大槌で動きを鈍らせたところを、この小刀で仕留める」
守護者は、左手にナイフを持っていた。
守護者「今のを耐えただけでも立派なもんだ。本当はあれで叩き潰すつもりだったんだぜ」
ノリスケ「そんなに簡単にやられてたまるか!」
ちょうどクラウチングスタートの姿勢になっていたノリスケが、守護者に突進する。
守護者「速い!?」
ノリスケの攻撃をかろうじてかわす守護者。
ノリスケ「500倍の重力で修行して自惚れた僕は、1000倍の重力で修行したイササカ先生に負けた!
     だから僕も1000倍の重力で修行したんだ!!」
ハンマーの効果など何もなかったかのように攻めたててゆく。守護者はそれでも全ての攻撃を防いでいる。
守護者「くらえっ!」
ハンマーが見えなくなるほどのスピードで、ハンマーを横に振った。
横振りの一撃を、ノリスケはガードして受け止める。
守護者(今ので上半身が吹き飛んでもおかしくないものを…これならどうだ!)
守護者は左手にナイフを持っていたが、それを手放すと、ナイフがノリスケの心臓めがけて飛んでいった。
タイコ「危ない!!」
ノリスケに刺さる直前で、タイコがナイフを手でつかんで止めた。
タイコ「このっ!」
ナイフで切りつけようとするが、守護者は後ろにとんでかわす。
守護者が後ろに飛ぶことを読んでいたタイコは、そこを狙ってナイフを投げつけた。しかし。
ノリスケ「……っ!」
ナイフは、投げた方向を完全に無視してノリスケの胸部に突き刺さった。
タイコ「あ、あなた!?」
仰向けに倒れるノリスケに慌ててかけよるタイコ。
守護者「……使い方も知らないくせに使おうとするからそうなるんだよ。
    それはこの大槌で叩いた奴を狙うようになってんだ」
タイコに哀れみの目を向けながら言う。
守護者「気結晶を諦めると誓うならあんたの命までとる気はないぜ。
    助からんとは思うがそいつの治療もやってもいい」
タイコ「…そういうわけにはいきません」
タイコは守護者を睨みながら言う。
守護者「夫の仇か?俺を殺すつもりなら俺だってあんたに温情をかけやしない」
ハンマーを右手に持ったまま、ノリスケとタイコに近づいてゆく。すぐにでも叩き潰せる距離まできた。
タイコ「そういうわけにはいかないのです。私たちは勝ちますから」
守護者「!?」
ノリスケ素早く起き上がって、自分に刺さっていたナイフで守護者の右腕、右肩、わき腹他数箇所を刺した。
守護者「馬鹿な…確かに刺さったはず…」
突然の攻撃に倒れ伏したまま問う。
タイコ「時空を不完全に歪ませて…傷を半分ずつ分けたんです。死なずにすんだみたいね」
ノリスケだけでなくタイコの胸の部分も血に染まっている。
タイコ「結婚したとき、互いにこの技を体得したわ。役に立つことがあるとは思わなかったけど」
ノリスケ「できれば実力で勝ちたかったけど…」
守護者「かまやしねえよ。俺が起き上がらねえうちにとっとと取っちまいな」
倒れたまま気丈に言う。強がりなのか、本当に回復の見込みがあるのかは不明。
ノリスケ「すまない…」

海平の前に、剣と刀を持った守護者が倒れている。海平は傷ひとつない。
海平「どの守護者も同じレベルだとしたら、西原君やノリスケ君たちには
   荷が重いかもしれんの…波平は心配いらんだろうが……」

その波平は。
波平「こんなところで再会することになろうとはの…」
気結晶を守る守護者はいない。その代わりに、サブがそこにいた。
対峙する二人のカットでラスト。

煽り ノリスケ勝利!そして波平は…

06/10/17のバレ

波平「こんなところで再会することになろうとはの…」
サブ「俺は誰か来るだろうと思ってました」
気結晶を安置してある建物。そこにやってきた波平と、待っていたサブ。
波平「一緒にいたあの少年はどうした?」
サブは目を瞑り、黙って首を横に振った。
波平「そうか…。有望な若者の死は悲しいものだ…歳をとると余計にな」
寂しそうな顔で言う。
サブ「彼は…口ではなんだかんだ言っていても、この村を守ろうとしていたんだと思います」
サブ「だから、これを取ろうって言うんなら、俺が戦います」
波平「あの少年の代わりに戦うというのか」
サブ「はい。彼は俺のために死にましたから。彼がやろうとしていたことを、
   俺が代わりにやるんです」
波平「そこまで言われたらワシもやるしかないの。ワシも戦う覚悟があってここに来たのだ」
その言葉を受けて、光を放つとともにサブはバトルライドスーツを装着した。
(いつもよりコマ数を使って描かれている)
波平「少し変わっておるか」
サブのバトルライドスーツのところどころに小さなパーツがついていて、
若干デザインが変わっている。
サブ「防御力が上がって、このスーツとそれを着る俺自身に自己再生能力が
   付加されたんだそうです。古代帝国の技術ってやつです」
自分のバトルライドスーツを見下ろしながら言う。
波平「…他人のそれをいじらせたのかね。以前の君からは考えられん」
サブ「いろいろ事情があったんですよ」
波平「ともかくパワーアップしたということじゃな。ならば試させてもらおう!」
波平の先制攻撃。正面から突撃して、真っ直ぐストレートを叩き込む。
サブはそれを正面から胸で受ける。全く効いた様子はない。
サブ「そのままじゃ、俺には勝てませんよ」
波平「そうじゃな。ならば……リミッター解除!!」
波平はリミッター解除した。強大な力と気が開放される。
波平「ぬんっ!」
再び胸へストレート。正面から受けたサブは、足を踏み込み、歯をくいしばって耐える。
波平「ほう、あえて避けなかったのだな」
ニヤリと笑いながら、楽しそうな顔をしている。
サブ「試させてもらうのは俺も同じです。カティのくれた力がどれほどのものなのか!」
波平「ワシをなめるな。死ぬぞ」
一転して鬼のような恐ろしい顔に変わる。
サブ「それこそ磯野波平の昭和の魔人としての顔…
   カティの遺志として、俺の意志として、そんなあなたに勝つ!」
今度はサブがストレート。これを波平は額で受ける。
こちらも足を踏み込み、全身に気合を入れ、全力を防御に費やして耐え切った。
波平「いやにこだわるのだな…君ほどの男が」
サブ「バトルライドスーツがパワーアップしたとしても、それはまだカティの力です。
   この力を俺のものにするために、俺は戦わなきゃいけない!」
波平「わかるようなわからぬような理屈だが、まあよい!
   ワシに勝てるというのならやってみるがよい!」
サブ「おらあっ!」
波平「でやあああ!!」
同時に互いにパンチを繰り出した。同時にヒットする。
サブ(昨日戦ったときも思ったが…やはりこの人は並じゃねえ!
   さらにこの上があるんだから恐ろしいもんだ)
波平「防御力は上がったが攻撃力は変わらぬようじゃな。
   どうせならもっと改造してもよいだろうに」
サブのパンチが当たった個所を左手で抑えながら言う。
サブ「俺は他人に改造されることを嫌ってましたからね。
   カティ君は最小限だけで済ませたんでしょう」
自分の拳を見つめながら言う。
波平「君にもいろいろこだわりがあるようじゃな。
   じゃが、過剰な固執は勝利を遠ざけるもんじゃぞ」
サブ「知らねえよ!今更グダグダ言ってもはじまらねえ!俺は、今、ここで、あんたに勝つ!」
波平「確かにその通りじゃな。何があろうと今、与えられた条件で勝たねばならぬ。
   君も、ワシもな!」
意味ありげなことを言って、三度、パンチの打ち合い。
一発、二発、三発、四発、拳を打ち込み続ける。
五発、六発、七発、八発、だんだんダメージが蓄積していく。
続いてサブが放った一撃で波平が後ろに吹っ飛んだ。サブ優勢かと思いきや。
波平「くっくっくっ……」
サブ「何がおかしい!?」
波平「確かに強くなった。じゃが、その拳ではワシには勝てん」
サブ「拳だと?」
波平「君は今、バトルライドスーツに気をとられすぎておる。
   それよりも拳(これ)を磨きなさい」
サブ「そんなに言うんなら…やってやらあ!!」
サブが、波平の顔面にストレートを叩き込んだところでラスト。

煽り 意地と拳のぶつかりあい!!

06/10/21のバレ

サブ「おらあっ!」
サブのパンチが波平を殴り飛ばす。
さらに一撃。しかし波平に致命的なダメージは与えられない。
波平「まだまだだよ、君」
今度は波平の攻撃。サブの腹に拳が突き刺さり、サブは苦痛を押し殺した顔で耐える。
サブのエルボー、波平のアッパー、サブの左ストレート、波平のボディブロー。
まるで避けないことが暗黙の了解となっているかのような戦い方だった。
確実に両者にダメージが蓄積していく。
体中が拳による打撃を受け、拳もまた打撃のダメージを被る。二人の拳は血がにじんでいた。
波平は表情や言動に余裕はあるが、血を吐いたのか、口から血が出ている。
サブは全身にダメージを負っており、バトルライドスーツもヒビ割れてない個所が
ないくらいに破損していた。
息も絶え絶えで足どりもあやしくなっている。それでも拳の力は衰えを知らない。
波平「なあ、勝利とは何かの」
サブ「なんだって?」
いきなりの質問に、眉をひそめるサブ。
波平「勝利とは目的を成し遂げること。ワシは気結晶を奪うために、障害となる君を倒す。
   君の目的はなんだね?ワシを倒すことでそれが達成できるのか?」
サブ「俺の目的は、カティがやるはずだったことを代わりにやることだ!
   カティがパワーアップさせた、このバトルライドスーツで!!」
サブは拳を強く握り、叫ぶ。
波平「あの少年のため、そのスーツのため。君自身はどうした。君らしくもない」
サブ「そっちこそらしくねえぜ!そんな理屈だか屁理屈だかこねてねえで
   さっさと俺をぶっ倒せばいいじゃねえか!」
波平「歳をとると説教くさくなっていかんな。それに君の気持ちもわからんでもない。
   勝者は敗者の、生者は死者の運命を背負って生きていかねばならぬ」
目の前にサブがいるというのに、急に肩の力を抜いた。
波平「もしここでワシが負けたら」
サブ「なに!?」
波平から出た意外な一言にサブは驚く。
波平「ワシはTARAに対抗する手段として気結晶を必要としておる。
   君が勝ったらどんなやり方でもいい、TARAか帝国と戦うのだ」
サブ「ただごとじゃないと思ったらTARAが……」
何かを考えたあと、サブは口を開く。
サブ「甚六さんは洗脳を解かれてここで安静にしてます。
   俺が負けたら、あとで治療を受けさせてください」
波平「よかろう。そんな改まることもないだろうに」
サブ「………」
サブは、さっきまで波平に乱暴な言葉遣いをしていたことに、今更気づいたらしい。
波平「全てが終わったら気結晶は返そう。後でいいなら、満足いくまで相手してやろう。
   ……それでもまだ勝つことにこだわるかね」
サブ「『今だけは負けるわけにはいかない』!
   俺はいつだってそう思って戦ってきただけだ」
波平「ならばそれでよい。君は君自身のために戦えばよい」
サブ「…結局それが言いたかったんですか。ずいぶん遠回りしましたね」
波平「ワシは次の一撃に全てを賭ける。君も全てを賭けてきなさい」
波平は構えをとる。小細工なしの、ストレートを叩き込む構えだった。
サブも構える。やはりこちらもただ全力で拳を叩き込むことだけを考えた構えだった。
二人は気を高める。その気だけで大気が鳴動し、建物が揺れるほどだった。

波平「これで…」
サブ「終わりだ!」
二人の拳が交錯する。
海平「ノリスケ君たちは勝っておったのか」
ノリスケ「はい。なんとか」
おそらくは帝国へ向かう途中の道。海平が傷を負ったノリスケ達に合流した。
海平「だったら波平の方をフォローすべきだったかもしれんな。今からでは間に合わぬ」
ノリスケ「僕たちならともかく波平おじさんなら心配いりませんよ」
海平「波平は、昨日、限界まで力を使ってしまったせいで最終リミッターを解除できんのだ」
深刻そうな顔つきになる海平と、それを見てやや不安顔になるノリスケとタイコ。
ノリスケ「それにしたって、波平さんに勝てる人なんかそうそういません」
海平「だといいのじゃがな。あやつは今、負けるかもしれん敵と戦っておる」
海平が空を仰ぐ。

サブ「波平さん…あなたには、さらに『上』があったはずです……
   なぜそれを使わなかったのですか…?」
しかし、血まみれて倒れ伏す男は、何も答えない。
だから、サブもただ黙って波平を見下ろしていた。

煽り 倒れて何も語らず…

06/10/24のバレ

立体映像を映す部屋。サザエとルーフが立ち尽くしていた。
サザエ「今のがムー大陸滅亡の真相…」
ルーフ「なるほど…概ね計画どおりだな…」
なにやら言ったルーフが、一方的に会話を打ち切り、部屋から立ち去ろうとする。
サザエ「私を倒すんじゃないの?さっきの戦いで消耗してるのに」
ルーフ「戦うつもりはないと言っただろう。俺には戦いたい相手がいる。
    奴はきっと生きてここに来るはずだ」
ルーフは、唐突にドリンク剤のようなものをサザエに渡した。
ルーフ「それを飲めば、体力的な疲労と気を回復できる。次元気はどうか知らないがな」
サザエ「…なんでこれを?」
ルーフ「俺がそうすると決めたからだ。俺はフネをけしかけたが、お前は勝った。
    戦いに勝った以上、お前に利益を与えてやらねばならない。
    これを信用するかどうかもまた、お前の決めることだがな」
そういい残して、今度こそルーフはその場からいなくなった。
サザエ「…へんなひと」
サザエ(自分勝手、あるいは個人主義者ってところかしら?)
部屋に一人残された、もとい一人ではないことに気づいたサザエが呟く。
サザエ「母さんどうしよう」
若いままのフネが、まだ倒れていた。
ムニル「オーディス様!!」
慌てた様子のムニル。対してオーディスは落ち着き払った様子。
オーディス「慌てるな。見てのとおり私はなんともない」
言葉とは裏腹に、腹に一つだけ殴られた後がある。
ムニル「そんな、ありえません」
オーディス「そうだ、ありえない。TARAは私を攻撃しておきながら殺していない。
     伝説に伝わるTARAからは考えられない。その方が、私たちの計画には都合がいいが…」
ムニル「ルーフ様からの連絡で、例の映像は、確かに計画に使えそうだそうです」
オーディス「つまり、私たちの役目はTARAと神歩の戦いを妨げる要因の排除だな。
     ムニルには一つ命令を与える」
ムニル「はっ」
オーディス「固くなるな。勝てない敵と戦うような命令は与えん」
ここでシーンは途切れ、具体的な命令はこの時点では不明。

倒れていたアナゴが目を覚ます。
若者「目覚めましたか?」
村人の若者がアナゴに声をかける。
アナゴ「私は……」
若者「あれだけやられて助かったのは、正直驚いています。いくら私たちの技術を使っても」
アナゴ「技術?」
長老「古代帝国の技術により作られた装置です。気を利用して怪我を治療するのです」
アナゴが目を覚ましたのに気づいた長老が近づいてくる。
長老「あのままでは助からないと思いましたので。しかし私たちも帝国兵たちと戦っているために
   大勢のけが人を抱えていて、みんながそれを使う順番を待っているので、
   戦わない者に命を助ける以上の治療はしてやれません…」
すまなそうな顔で言う長老。しかし……
アナゴ(彼らのために戦うつもりがなければ治療はしてやらないということか…)
アナゴ「ありがとうございます。しかし私も命を助けてもらった以上、お礼をしなければなりません」
本音を隠し、腹の探り合い。アナゴは彼らとの交渉を進めていった。
ゼビウス「帝王TARA」
ゼビウスの前には、タラオがいる。
ゼビウス「神歩との再戦までには、いま少しの時を必要と致します」
タラオの前にひざまづき、恭しい態度で言う。
ゼビウス「それまでの間、私との戦いをお楽しみください」
タラオ「なんだかんだと理由をつけていますが…」
タラオは嘲笑したような邪気をたたえた笑みで言う。
タラオ「要は戦いたいんでしょう。『僕』は後で戦うと言いましたから
    理由なんてつけなくても殺されたいなら僕が殺しますよ」
ゼビウス「承知!」
ゼビウスが覚醒した。圧倒的な気の前に、しかしタラオは動じない。
ゼビウス「はっ!!」
互いの拳を突き合わせる。パワーは互角か。
タラオ「おもしろいですね。そういう相手と戦ってみたかったんです」
邪悪な笑みをたたえ、タラオは次なる一撃を繰り出した。

煽り 邪悪!超然!

06/10/28のバレ

タラオの一撃とゼビウスの一撃が同時に決まり、同時に後ろに吹っ飛ぶ。
ゼビウスは後ろの壁に衝突して、その壁が崩れ、瓦礫に埋もれる。
タラオは壁を蹴って、ゼビウスに向かって飛んでゆく。
ゼビウス「ふん!」
自分に被さっている瓦礫を押しのけ、タラオを迎え撃つ。
飛んでくるタラオに拳を突き出すゼビウスと、その拳を破壊せんばかりの
強烈な一撃をお見舞いするタラオ。
その一撃の後、タラオは着地して、一定の距離をとる。
前回のラストからここまでにかなりの時間がたっているようで、
二人ともそれなりの手傷を負っている。
タラオ「ふふふっ…こういうふうに戦ってみたかったんですよ」
ゼビウス「?」
タラオ「策を使わないタイプで、一対一で互角に戦える相手。
    ただ力だけを使って戦える相手と」
ゼビウス「ご要望にお答えできてなによりです!」
ゼビウスはタラオに連続蹴りをみまう。嵐のような連撃を、タラオはその全てを紙一重で避ける。
十数発めの蹴りをぎりぎりで避けると、風圧だけでタラオがわずかに後ろに飛ばされる。
そこを狙って蹴り上げ、これが見事にヒットした。さらに宙に浮いたタラオに
かかと落としをヒットさせる。
強烈に地面に叩きつけられたタラオは、しかしすぐに起き上がった。
タラオ「こんな戦い方もできるんですね」
全てのものを見下さんばかりの邪悪さを感じさせる笑みだった。
黒フード「ワカメ様、イクラ様、行きましょう」
ワカメ「どこへ?」
不信感を露にした表情で問うワカメ。
黒フード「イクラ様に見せるものがあります。『それ』を見せることで、
    神歩はかつてTARAとまみえたときの力を発揮できるはずでございます。
    その準備が整ったとの連絡が入りました」
ワカメ「連絡?」
黒フード「詳しくは話せませんが、帝国の内部に内通者がいます」
イクラ「チャーン」
イクラは何かにとりつかれたように歩き出す。
ワカメ「イクラちゃん…?」

アナゴ「はあ…はあ…」
アナゴの前には二、三十人の帝国兵が倒れている。
ケガはまだ完全に治っているとは言いがたく、呼吸を乱しながらなんとか倒したという感じ。

長老A「なるほど…あの男に戦わせればここを突破できるかもしれん」
長老B「となれば、もっと治療を受けさせてもよさそうだ。おい、陣形を変えさせろ」
手近な若者に指示を出させる。アナゴのケガを回復させて、その間はただ持ちこたえるという
作戦に変えたらしい。
長老C「怪我人に戦わせるのは心苦しいが…」
長老B「ならば怪我人ではなくさせればいいだけのこと」
長老A「あの男が自ら戦うことを志願するとは意外だったが…我々と利害が一致したようだの」
長老B「あの男がいれば…TARAのもとにたどり着ける…!」
ワカメ「ここは…あの立体映像の部屋?」
黒フード「左様にございます」
その部屋にいたはずのサザエと若フネはいない。すでに移動したか、似たような部屋がもう一つあるのか。
黒フード「見たものを実現するという神歩の力…一万二千年前の戦いの映像を見せれば…」
ワカメ「なるほどね…」
上映がスタートした。ワカメ、イクラ、黒フードは映像を見ているようだが、
読者からは何が映っているかはわからない。
ワカメ「これは…」

タラオとゼビウスが手を組んで、押し合いをしている。
両者とも必死の形相で力を比べあっている。
ゼビウス「くっ」
不意にゼビウスの膝が崩れる。突然均衡をを崩されたために、タラオはよろめき、
その隙にゼビウスは膝蹴りを叩き込んだ。
タラオ「力は互角ですか…」
ゼビウス(違う!互角ではない!この戦いを始める前なら我があっさり押し勝ったはず。
    修行して戦いが巧くなったとかいう話ではない!今現在でさえTARAの力は
    完全に開放されておらんのだ!なんと恐るべき力よ…)
長いモノローグのあと、ゼビウスは表情を引き締める。
ゼビウス「まさしく進化する魔人…まさしく帝王…だからこそ、我はそれを乗り越えるのだ!!」
ゼビウスが吼えて、タラオと同時に攻撃を繰り出した。

煽り 加速する進化!

06/10/31のバレ

オーディス「馬鹿な…ゼビウスが!?」
驚くオーディスの前には、倒れたゼビウスと彼を見下ろすタラオがいた。
またもや、前回のラストからはかなり時間がたっているらしい。
タラオ「まだ死んでいません。手当てをしてやればまた戦えるでしょう」
オーディス「!?」
タラオ自身もかなりのダメージを負っているが、悠然と立ち去っていく。
オーディスは、その背中をただ見送っていた。
ゼビウス「TARAは…」
弱弱しく語り始める。
ゼビウス「TARAは、あれだけの強さを持ちながら、まだ強くなり続けている…
    未だに未完成なのだ…」
オーディス「そしてわからぬこともある。私を殺そうとはしなかったのに
    ゼビウスをここまで叩きのめし、それなのにとどめは刺していないのだ」
ゼビウス「我もそれは思っておった。性格がちぐはぐなのだ…」
オーディス「どちらでもよい。TARAから闘争心が失われていなければ、計画に支障はない。
    お前は傷を回復させておけ」
回復カプセルのところに連れていくつもりなのか、オーディスはゼビウスを抱き起こす。
ゼビウス(我は、飛躍できぬのか…あのTARAのように…波平のように…!)
オーディスに見られない位置になったとき、ゼビウスは悔しそうな表情をした。
海平、ノリスケ、タイコが廊下を歩いている。
ノリスケ「気結晶…これでうまくいくのでしょうか…」
不安そうなノリスケ。
海平「わからぬ。だがTARAと戦っても敵わぬのだからやってみる価値はあるじゃろう」
海平(波平が来ないかもしれんのなら、早くも計画が狂っておるのじゃが…)
「あいつ以外と戦うつもりはなかったが」
突然、誰かの声が聞こえてきた。
ルーフ「さすがにそれは見過ごせないな」
声の主はルーフだった。すでに右手に剣を上段に、左手に槍を中段に構えている。
ルーフ「いずれ奪おうと思っていた気結晶を持ってきてくれたんだ、感謝すべきかもしれないな」
海平「武器を持っている以上、交渉の余地はないということじゃな」
ルーフは無言で槍から光線を放ち、その光線は海平をギリギリかすった。
海平「挨拶がわりか?今ので仕留めればよかったものを」
海平(この廊下では剣の間合いを活かしにくい。槍に注意して懐に飛び込めばよい)

ルーフは次々と光線を放ってくるが、海平は、それをかわしながら距離をつめていく。
少しずつ近づいてゆき、剣の間合いのギリギリ外まで来た。
ルーフも少しずつ後ろに下がって間合いを取ろうとするが、海平もその分間合いをつめる。
海平(ここじゃ!)
そして、わずかな隙を見つけた海平は、一気に踏み込んで剣と槍が使えないほど距離をつめた。
海平(武器の欠点は、それを持つ者の行動が限定されることじゃ!)
しかし、ルーフは右手に剣を持っていなかった。普通に剣を手放しており、今は素手になっている。
その右の拳で、海平のこめかみを殴る。海平にとっては想定外の一撃に、わずかによろめいた。
そしてルーフは離した剣を右足で器用に蹴り上げて、右手でキャッチ。
次の瞬間、剣で海平を斬りつけた。
傷の程度は不明だが、派手に出血して海平は倒れる。
ルーフ「武器の使い方次第では、敵の行動を操ることもできるのだ」
そして、あたりを見回すが、ノリスケとタイコは既にこの場にはいなかった。
ノリスケ「海平おじさんがあっけなく…あんな相手に、どうすればいい!?」
タイコ「当たらないことを、祈るしかないのかしら…?」
力の差を思い知りながら、ただ走るしかなかった。

ルーフ「気結晶はあいつらが持っていったのか…行き先は想像つくがな。
    とりあえずこいつにとどめを刺しておこう」
と、突然、ルーフと海平の間にシャッターが現れ、二人の間を隔てた。
ルーフ「うおっ!」
全く思いもよらなかった出来事に、驚きを隠せない。

ある部屋にオーディスと回復カプセルがある。この中にゼビウスがいると思われる。
部屋の出口であるべき場所は、壁が立ちふさがっている。
オーディス「何者がやったかは知らんが、骨が折れそうだな」

ムニルが廊下を真剣な表情で歩いている。
ムニル(敵は最低二人…『これ』と共に戦えば戦力的には劣らないだろう)
ムニルの後ろに誰かがいる。コマからはみだして描かれているので、どんな人物かはわからないが。
ここでも突然、ムニルと後ろの人物との間に壁が現れ、その間が隔てられた。
壁を調べるも、壁を突破するのを諦めたらしい。
ムニル「時間がないかもしれない…一人で行かねばならないか」

西原「いずれはコンピューターを使ってセキュリティの管理をしようとしてたんだろうな…
   僕がやっておいたよ」
自信に満ちた表情の西原。焦れたような顔のルーフ、ムニル、オーディスのカットでラスト。

06/11/04のバレ

ルーフ「はっ!」
剣を一閃。壁を斬って文字通り道を切り開いた。
そうやって壁を突破し、部屋の中に入った。兵士が二人いて、
いくら操作しても勝手に動いてしまうということをルーフに伝えた。
ルーフは通信機を手にとって通話を始める。
ルーフ「オーディス、聞こえるか?管理室がのっとられたわけではないようだ。
    何者かが遠隔操作しているのだろうな」
通信機「そこが関係ないとすると…」
少しの間があって。
通信機「あの部屋だ!電子頭脳の操作を得意とする少年がいた!」
ルーフ「あれか…!使いこなせもしないものを導入するからこんな目にあうのだ」
愚痴を言って、PCなどが置いてある隠し部屋を目指した。

西原「っていうふうにあっちは考えるでしょう。僕が遠隔操作でハッキングできるとも知らずに」
西原がいるのは、そのPCの部屋ではなく、気結晶をエネルギー源にする砲台がある部屋である。
ノリスケ「大丈夫なのかい?」
心配そうに見守るノリスケとタイコ。
西原「わかりません。あっちだって壁を破壊するぐらいの力はあるかもしれませんから。
   海平さんを倒したような奴らとまともに戦っても勝てません」
西原(僕もあれから強くなったつもりだが海平さんに勝てるとは思えない…)
西原「これは時間稼ぎにしかなりません。しかし、それまでにTARAが現れてくれれば…
   この兵器の出番です」
オーディス「ゼビウスが傷を負っているのが痛いな…
    ゼビウスならこんな壁の十や二十は軽いが…」
思案顔で呟き、通信機に向かって喋り始める。当然相手はルーフである。
オーディス「私やムニルでは壁を破壊するだけで体力を消耗してしまうかもしれん
    この事態を起こしている張本人を倒すのは任せた。ムニルにも
    かまわず目的地に向かうように命令しておいた」
通信機「わかった。相手の目的は時間稼ぎかもしれないな」
オーディス「ああ。ムニルが間に合えばよいのだが…」

ムニル「道をふさがれただけでここまで不便になるとは…」
やはりムニルも壁を破壊して体力を消耗するのを避ける方針でいる。
ムニル「だがここは私たちの領域。完全に掌握したつもりでいるなら思い上がりですね」
どこをどうやっているのかはわからないが、なんどか壁にぶつかりながらも進んでいく。
そして、ある部屋にたどり着いた。
そこにいたのは、魔法陣で自然の気を駆使するべく瞑想し続けている中島と、
その中島を守るために徹夜で戦い続けているカツオだった。
当然のことながらカツオは消耗しきっていて、立っているどころか起きているだけでも辛そうな状態。
ムニル「間に合ったようですね」
勝ち誇った笑みで言った。
ムニル「それをやられると困ります。止めさせてもらいますよ」
そうはさせない、という代わりに立ちふさがるカツオ。しかしフラフラである。
中島「磯野…少しだけ持ちこたえてくれ!そうすれば僕も戦える!」
ムニル「それに間に合ったのですから、私の勝ちも同然です!」
ムニルの強烈な回し蹴りが決まった。カツオはなすすべもなく吹っ飛ぶ。
カツオはすぐに立ち上がるが、その姿はあまりにも弱弱しい。
中島(魔法陣が発動するまで正確には19分21秒…とても持たない!)

オーディスもムニルと同じように、壁を破壊しない方針で歩いている。
オーディス「ここは…」
そこは、闘士場であった。
「おそらくこいつが、マスオさんを洗脳した張本人です」
突然、声がひびく。そして今度は一人の人影が現れた。
アナゴ「わざわざすまないね、西原くん」
アナゴは、傷もほぼ完全に回復しているようである。
オーディス「私としたことが、誘導されていたようだな。ニシハラという少年に…」
アナゴ「話し合いが通じるとは思わない…ここのしきたりに従って、
    強さで言うことを聞いてもらおうじゃないか!!」
アナゴは早くも臨戦態勢に入る。闘士場に入った以上戦いは避けられないと、
オーディスも戦いの姿勢になった。

煽り 導かれた戦い!勝敗の行方は!?

06/11/07のバレ

向かい合うアナゴとオーディス。
オーディス「ところで、ここに辿り着いたということは、我らの帝国兵を全滅させたということですか?」
アナゴ「倒させてもらったよ。全滅かどうかはわからないけどね」
特に誇るでも驕るでもない。ただ事実を述べただけ。
オーディス「手遅れだったわけですか…」
アナゴ「?」
訝るアナゴ。
オーディス「外であなたが復活したと聞いて、私が迎え撃つつもりだったのです。
    ニシハラ少年のせいでそれがかなわず、兵を失うことになってしまいましたが…」
ここでやっとオーディスも構えをとる。
オーディス「あなたは危険な人物だ。確実に倒させてもらいます」
アナゴ「兵をやられたというのに何の反応もないのかね」
オーディス「優しさ、哀れみ、傲慢、動揺…幼少より戦闘の邪魔になるような感情は抑制するように
    訓練を受けています。怒りや悲しみのような激情も同様です」
アナゴ「それでは私には勝てないな」
オーディス「ほう?」
アナゴ「勝ちたい、強くなりたい、相手を痛めつけたい、戦いが楽しい…
    私のライバルたちはみな激しい感情や欲求で強くなっていったよ。私もね」
オーディス「どちらが正しいかは戦いで決めさせてもらいましょう」
アナゴのほうから仕掛けた。次々と攻撃を繰り出す。7コマで合計パンチ27発、キック5発。
かなりのスピードだと推察されるが、敵の気を読み取って攻撃を予知できるオーディスは、
その全てをかわしている。
この間にオーディス(の義眼)は、アナゴの体のどこに攻撃を叩き込むと最も有効かを解析していた。
そして、アナゴの右フックを左に避ける。そこにクロスカウンターを叩き込む…つもりだったが。
アナゴ「ふんっ!」
突然、右フックを裏拳に切り替える。直前で察知したオーディスは、なんとかその裏拳をかわした。
オーディスは一度後ろにさがって距離をとる。
オーディス「なぜ…」
アナゴ「私が君だったら今のタイミングでカウンターをやっていた。それだけだ」
オーディス「やはり一筋縄ではいかないようですね」
またアナゴから仕掛ける。
アナゴのラッシュの全てをオーディスは防ぐか避けるかする。
全くヒットしないが、それでもアナゴは愚直なまでに何度も何度もラッシュを続ける。
受けるオーディスも次第に追い込まれてゆく。
オーディス(防ぎきれな…っ)
ついにアナゴの攻撃がオーディスの顔面をとらえた。
攻撃の勢いを受けて、オーディスは吹っ飛び、転がされた。
オーディス(強い…!力も技も私を上回る…!)
思考をめぐらせながら立ち上がる。
オーディス(力と技以外のもので勝負しなければならないわけだが…)
オーディスから始める。一撃一撃慎重に何かを見極めるかのように攻撃してゆく。
アナゴ「そんなもので勝てると思っているのかね!」
力いっぱいの右ストレートを叩き込み、オーディスは正面からガードして受ける。
オーディスの回し蹴り、アナゴも合わせて回し蹴り、手、足、肘、膝、あらゆる攻撃を互いに繰り出す。
さすがにこのレベルになると回避率100%とはいかないらしく、互いに攻撃も当たっているが、
概ねアナゴが優勢であった。
オーディス(ここだ!)
次のオーディスの攻撃は右ストレートだった。腰溜めに放ったストレートは、アナゴの胸に
届く直前、掌が開かれる。右腕は真っ直ぐに伸びて、右腕に気が集中する。
サザエやフネを屠った光線の予兆である。
直前まではただのストレートに見え、完璧にカモフラージュしてあった。
アナゴ「やらせん!」
光線を放つ直前、アナゴはオーディスの腕を極めた。
オーディス「うっ!」
痛みに顔をゆがめることは堪えながら、がら空きになったアナゴのボディに蹴りを叩き込む。
その衝撃でアナゴは腕を離してしまった。
オーディス(私の切り札を知っていたのか…?)
アナゴ「君が何かを隠しているような気がしたのだよ。その瞬間、君の『何か』が違っていた」
オーディス(切り札が通用しない…この男の戦闘経験に基づいた勝負勘…どうすれば上回れる!?)
表情には何も表さない。しかし、オーディスに焦りが生まれ始めていた。

ゴガッ!とカツオが激しく打ち付けられる。
一睡もしていない疲労と戦闘によるダメージにも負けず、なお立ち上がる。
カツオのパンチ。右、左、右、左、次々と放つ。鋭い攻撃であったが、いかんせん単調だった。
ムニル「まだこれほどの力があるとは…」
単調な攻撃を、ムニルは簡単にかわせると思いきや、何発目かのカツオの右をまともにくらう。
さらに左、右、左、と立て続けに打撃をくらってしまう。
カツオ「!」
一気に畳み込むはずのカツオの動きが急に止まった。この場に発生し続けている『霊』が、カツオにとりついた。
カツオ「――ッ!」
『霊』に触れられた者は気を吸い取られる。たまらずカツオは倒れてこむ。
ムニル「私がこんな攻撃をくらうとでも思っていましたか」
つまり、攻撃をくらったのは、『霊』に気を吸い取らせるための陽動だった。
中島「くそっ…」
その場を動いてはいけないらしく、歯がゆそうに見る中島。
カツオ「あっはっはっは…」
決着がついたと思われたが、カツオは妙に明るい声で笑う。
カツオ「こんなときを待ってたんだ…!」
体力も気も使い果たし、衰弱しきったはずのカツオが、急に不適な笑みを浮かべ、本ガツオになった。
中島「バカな!?死ぬぞ!!」
中島の言葉を聴かず、むしろ勝利を確信したかのような笑みで、本ガツオは起き上がった。
カツオ「よく見ておけ、俺の修行の成果…!」

煽り 新たなる力!?

06/11/11のバレ

カツオ「俺の修行の成果…みせてやる」
前回のラストと同じようなカット。カツオは本ガツオになっている。
ムニル「この期に及んでそんな減らず口を叩くとは感心しませんね…」
しかしここで表情を引き締める。
ムニル(オーディス様がここで戦うことを命じたのは私なら勝てると考えたから…
    修行など関係ない!私が負ける要素はない!)
意を決したように殴りかかる。それをカツオは紙一重でかわした。
ムニルの表情がピクッと変わりそうになるが、すぐに元に戻る。
続いて蹴りを叩き込もうとするが、これも紙一重でかわされてしまう。
カツオは単にフラフラしているだけのように見えるが、
ムニルがいくら攻撃してもカツオには当たらない。

ムニル(読めない…)
ムニルが左眼のもたらす情報に戸惑っている。
ムニル(カツオは間違いなく覚醒しているのに…その体を全く気が流れていない!
    どういうことなのだ!?)
感情の抑制とやらも完璧ではないらしく、ムニルの表情に、明らかに焦りが見てとれた。
ムニルの視点から描かれており、「覚醒していながら気は全くながれていない」という
状態が描かれている。
ムニルのローキックをカツオはジャンプしてかわす。
カツオ「はっ!」
飛んだまま回し蹴り。勢いがあるようには見えないが、その実、威力は高かったようで、
ムニルは盛大に吹っ飛んだ。
中島「磯野は何をやっているんだ…?磯野自身に気は流れていないが全てにおいて自然な動き…
   今までの磯野にはない戦い方だ……」
カツオ(同じだ…あのときと…!)
カツオの変貌に戸惑うムニルと中島をよそに、自分のやっていることの手ごたえを確かに感じている。
ここから回想も交えて修行のことを簡単に説明している。
サウジアラビアのルブアルハリ砂漠で飲まず食わずで修行し続けた。
野生動物にさえ苦戦するほど衰弱した状態のもと、砂嵐の中で新必殺技(?)を開発した。(Part3>384参照)
カツオ(俺自身をゼロにしたとき…何かを掴んだ気がした)
ムニルの攻撃をひらりとかわして、蹴りを叩き込む。
カツオ(そして今…この手の中にある!)
流れるような動作でもう一撃。
中島(この千里眼で見ていても不思議だ…虚無でありながら最大の力を発揮している…!
   ムニルにも同じように見えているはずだ)
ムニルは倒されてもなお立ち向かうが、カツオに決定打を与えることができない。
ムニル(どうしてなのだ…攻略の糸口がつかめない…!)
ムニルは右手で手刀を叩き込もうとする。カツオはそれも避けるが、それと同時に
義肢であるムニルの右腕がはずれた。
ムニル「これでどうだ!」
そして、右腕が爆発を起こした。
カツオ「…この風だッ!」

独特の動作で爆風に乗るか立ち向かうかしてムニルに迫ってゆくカツオ。
そこから新必殺技と思しき蹴りを放つ。名前を叫んでくれなかったので技名は不明。
この技をまともにくらったムニルは断末魔もなく倒れこみ、吐血してうめいた。
中島「己を零にしながらもその力は最強…磯野は自らを追い詰めることでその極意を掴んだ…
   ここで一人で戦い続けたのはそのためだったのか」
ゴクリ、と喉をならす。
中島(磯野は…また新たな力を手に入れた)
中島の心中にあるのは、恐れか、あるいは克己心か。そんな中島をよそに、ムニルにトドメを刺そうとするカツオ。
しかしそのとき、部屋の入り口に一人の男が現れた。西原が分断したせいで遅れて登場することになった助っ人が。
ムニル「こ、こいつと戦うのだ…」
ムニルがそう命じた相手は、洗脳強化された八百屋だった。
甚六と同様に、全てを圧倒するほどの多大な気を放っている。
カツオ「なんで八百屋さんが…?」
予想外の人物に驚くカツオと中島。しかしムニルはそれに答えることなく、逃走を始めた。
重傷のため、大したスピードは出ないが。
ムニル(ここで退くのは口惜しいが、実力が私を上回ってしまったのなら仕方あるまい…
    最後の最後で戦力として連れてきた男が役に立つことになった)
敗北を認めながらの逃走。湧き出る激情を必死に押し殺して、逃げることに専念する。
カツオ「あんたは厄介だからな。逃がすわけにはいかない」
その背後にはカツオが。
ムニル「ど、どうして…」
カツオ「どうしてもこうしても…」
やはり八百屋は全く足止めになっていなかったらしく、戦闘シーンすらなく倒されていた。
カツオ「俺がなぜ強くなったのかを把握できず、最後に助っ人を誤った。
    あんたの敗因は情報不足だ!」
ムニルの表情が歪む。
カツオの拳は顔面…ではなく、ムニルの左眼を正確に狙い済ました。
狙いを違えることなく、ムニルの義眼は破壊される。
そこから追い討ちをかけるようにラッシュ。もう抵抗する力も残されていないムニルに、
容赦なく叩き込む。さっきまでとは違い、本ガツオらしいラッシュであった。
カツオ「あんたは強かった…俺の修行は、あんたが完成させてくれた!」
ここでトドメの新必殺技の蹴り。ムニルを吹っ飛ばして後ろの壁をも破壊する。
カツオ「この蹴り、確かにあんたに捧げたよ」

煽り 新たなる力、ここに!

06/11/14のバレ

中島「やっと終わった…」
終わったというのは魔法陣のことだと思われる。自然の気を利用して、人を本来あるべき状態に戻す魔法陣。
西原の計算が正しければ24時間ほど瞑想していたことになる。
中島「これの機能が正しいかどうか…八百屋さんで試してみればいいか。
   その前に…」
部屋を出て少しのところに、カツオが倒れている。正確には眠っている。
中島「僕も眠たくなってきたな…」

オーディス「馬鹿な…ムニルが……!」
アナゴとの戦いの最中、これまでにないほど動揺を見せるオーディス。
義眼から情報を共有しているので、ムニルが負けたこと、義眼が破壊されたことは
当然伝わっている。(正しくは、義眼が破壊された以後のことは伝わってないだろうが)
アナゴ「何があったか知らんが、私が目の前にいることを忘れるな!」
優勢なアナゴであったが容赦するつもりは全くなく、さらに突っかかってゆく。
そのアナゴを、オーディスは睨みつける、今度は一転して鋭い目つきになった。
アナゴの右ストレートを避けてその腕をとり、アナゴの力を利用して投げ技を決めた。
アナゴは、まるで自分からそうしたかのように盛大にひっくり返る。
アナゴは腕をとられたまま背中から地面に叩きつけられる。
間をおかず、オーディスはアナゴの右腕をひねり、関節を極める。
同時にアナゴの右肩あたりを強烈に踏みつける。
アナゴは痛みをものともせず、倒れた体勢から体のバネを活かして蹴りを放つ。
しかし無理な姿勢からの攻撃はオーディスには通じず、逆にカウンターを決められた。
それでも掴まれた腕を離すことには成功し、一度距離を置いて体制を立て直す。
アナゴ「さきほどの動揺はなんだったのだ…」
オーディス「戦闘中、敵の予想外の強さに動揺し、敗北を喫した…
    ムニルが身をもって教えてくれた教訓を無碍にするわけにはいかん」
アナゴに向かってというよりは自分自身に言い聞かすように言っている。
だが、ここから先はアナゴの方を見ながら言う。
オーディス「私は自分より強い相手に勝つために無理に必殺技を使おうとしました。
    そんな戦い方は下の下…本来の力を十二分に発揮することが勝利への道…」
アナゴ「自分より強いという相手に、どう勝つつもりなのかね!?」
試してみろ、と言わんばかりにラッシュをかける。
右腕のダメージなどなかったかのように左右ともに凄まじい猛攻を仕掛ける。
しかし、オーディスは、猛攻を防ぎきったうえで、アナゴの右肘に手刀を打ちつけた。
痛みに顔を歪めるアナゴ。効いているらしい。
オーディス「いくら強がってみせても、無理をすれば無理が出ます。右はわずかに遅い」
さらにアナゴの右腕を肘打ちと膝蹴りで痛めつける。
アナゴはオーディスに左ストレートを叩き込む。
そこでオーディスは避けるためにアナゴの右腕を離すことはせず、
右腕をひねってアナゴの体勢を崩させて、左ストレートの威力を殺した。
オーディス「これまでは、なるべく自分が傷つかないように、疲れないように戦ってきました。
    だがあなたほどの強者には、自分を省みない、『勝つための』戦いをしなければなりません」
アナゴとオーディスが、互いにラッシュの応酬を繰り広げる。
これまでのオーディスには見られない戦い方だった。互いに防御を考えずに攻撃を繰り出す。
手数はアナゴの方が優勢だった。
オーディス(右はくらってもかまわない…次!)
次の左は確実に避ける。対して、威力を殺した右腕の攻撃は食らってもかまわない、という戦い方だった。
考えていないようで、実は防御のことも考えている。
とはいえ、互いにダメージも蓄積してきた。
アナゴの左がオーディスのわき腹にめり込む。
アナゴ(なぜ避けない!?)
そこでオーディスはアナゴの左腕を両手でつかんで、投げ飛ばす。
柔術の達人の投げ技のように、少しひねっただけでアナゴは投げ飛ばされる。
オーディスは右腕を伸ばし、空中のアナゴを狙って光線を撃つ。
アナゴ「させんっ!」
空中で体をひねって、間一髪のところで光線をかわした。
オーディス「そう、そこで必ず避ける」
さらにオーディスの手刀がアナゴに首を斬る。大量に出血した。
勘のきくアナゴがどう避けるかを計算し、無理な体勢になったところをすかさず狙った。
地面に背中を打ちつけたアナゴに、間髪いれず心臓部に拳を叩き込んだ。
その拳の威力は、勢いが床に伝わって床が砕けるほどであった。
オーディス「いくら頑丈でも防御に集中していなければ脆いものです。
     とはいえ、首を切断し、胸を貫くつもりだったはずのものが……」
もちろんアナゴはそうなっていない。だが、もはやピクリとも動かない。
オーディス「心臓、気の流れ、ともに停止を確認」
勝利を確認してなお、安堵の表情は見せない。
オーディス「計画が狂う前に磯野家を倒さなければならない
     特にカツオを……!」
もう動かないアナゴをその場に置き捨て、オーディスはその場から去っていった。

煽り カツオに新たな敵が迫る…!

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