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07/01/06のバレ

若いフネと海平を担いでやってきたサザエ。
同じくすでに戦う力をなくしたカツオに止めをささんとするオーディス。
それぞれ怪我人を抱えたままにらみ合う。
とくに何の表情も見せていないオーディスと、
今にも爆発しそうな怒りを秘め、鋭い目つきをしているサザエが対照的だった。
サザエ「何をしているのかしら?」
オーディス「ムニルと同じ目を見てもらおうとしているだけです」
目の前に新たな敵が現れたため、そんなことをしている場合ではないと判断したのか、
カツオを投げ捨てた。
サザエ「まず聞いておくわ。マスオさんはどうしたのかしら?」
オーディス「こちらの戦力にさせてもらっています。アナゴを倒したあとは封印したままですね」
サザエ「アナゴさん?」
オーディス「仲間として期待しても無駄ですよ。すでに止めをささせてもらいました」
サザエ「ふふふ…」
サザエの含み笑いに、何がおかしいのかと怪訝そうな顔をする。
サザエ「あの人が殺したところで死ぬわけないでしょう」

倒れていたアナゴが目を開ける。
アナゴ「そうか…私はまた敗れたのか…」
静かに言って、起き上がる。
アナゴ「私のするべきこと…私の戦うべき相手…
     敗れてなお、あるものなのか……」
目的も見えないままに、歩き出した。
オーディス「心臓の停止を確認したが…私の詰めが甘かったということですか」
オーディス「過ぎたことを悔いても仕方ありません。もはや戦いは終結に近づいています」
すでにほとんどの者が戦闘不能になっている。この部屋だけでも、
カツオ、中島、先生、フネ、海平、帝国兵が十数人、どこか近くにムニルも倒れている。
花沢も力を使い果たし、実質的に戦闘不能。
サザエ「あなたには思い知らせてやらなくちゃいけないわ。磯野家を敵に回した愚かさをね」
オーディス(サザエは昨日とは違って何かの「技」を持っている…それに注意しなければ)
オーディスはサザエを注意深く見据える。と、そこに。
オーディス「うっ!」
いきなりサザエが右肩に担いだフネを投げつけてきた。一瞬視界がふさがれる。
オーディスは腕を払って飛んできたフネをはねのけた。
視界が開けたとたん、眼前に磯野砲が迫ってきていた。
オーディス「!!」
知覚が反応できても体は反応する暇がない。磯野砲をまともにくらってしまう。
サザエ「あなたの場合、安定を求めてその場に留まることが多いのよね」
追撃してきたサザエの前蹴りをみぞおちにくらう。
サザエはさらに踏み込んで追撃する。しかし、右ストレートを出そうとしたところで、
オーディスのほうから密着するほどに間合いを詰めてきた。
オーディス「あなたは、好機とみれば徹底的に攻める傾向がある」
サザエが次の攻撃をする前に、オーディスの『寸勁』がヒットする。
爆発的な力を発揮した一撃に、サザエは後ろに転がされてゆき、壁にぶつかる。
オーディス「一戦交えただけで私の癖を見抜いたわけですか…」
サザエ「互いの手の内はわかっているわけね」
それならこれの出番だとばかりに、サザエは『流』を発動した。
サザエ「ここからが本番……」
ワカメ「こっちにその『砲台』があるのね」
ワカメの後からついてくる、黒いフードをかぶった男に確認する。
ワカメ「TARAをも倒しうるという『気』を使った大砲…
    西原さんたちが準備できているというのなら……」
ワカメ「!?」
ワカメは息をのんだ。部屋にたどり着いたワカメが見たもの。
それは、倒れているルーフと、彼を見下ろし、立ちながらも明らかに意識がないサブだった。
二人ともバトルライドスーツや武器防具を持っていないことがワカメには不思議だった。
ワカメ「これは…?」
ルーフ「俺が負けたのだ……」
ワカメ「負けた?どう見てもサブちゃんは…」
ルーフ「格闘の実力は俺が一段も二段も上だった。肉体の損傷もサブの方が激しい。
    だがそれは些細な問題だ。
    何度倒そうともサブは起き上がってくる。どれだけ傷つき、意識を失ってなお……
    サブに恐怖した。もう起きたくないと思った」
一呼吸おいて。
ルーフ「なあ…魂とはなんだと思う?」
ワカメ「え?」
唐突な質問を受け、答えに詰まる。
ルーフ「決して倒れない不屈の闘志。その出所が魂だというのなら、確かにサブは最強だ。
    人の魂も背負って戦っているのだからな」
時間帯は夕方。壁が壊されたこの部屋に、夕日が差し込んできて、二人の戦士を赤く照らした。
ルーフ「この男に負けることができてよかった。素直にそう思えるよ……」
斜陽にバトルライドスーツが煌めく。
傷ついた二人の男とぼろぼろのスーツ。それが夕日に染まった光景に、
なぜかワカメは見とれてしまった。

煽り 一つの激しい戦い、一つの静かな決着…

07/01/13のバレ

サザエ「第三の秘技、流!!」
サザエの周囲に、紫色の気が展開する。
オーディス「あれが新しい技…」
気分を落ち着けるように言うオーディスだが、間髪入れず、サザエが突進してきた。
間合いをはかって、ジャンプして、そのまま飛び蹴りの体勢になる。
もちろん空中にいれば恰好の的になる。それを見逃すオーディスではない。すぐに迎撃の態勢をとる。
しかし、空中でサザエの体が横にずれる。『流』でサザエの体を、空中で無理やりずらした。
簡単に当たるはずの一撃をはずしたオーディスは一瞬動揺し、そこを狙ってサザエの空中回し蹴りが決まった。
オーディス「次元気と格闘技の融合ですか…」
うまいことやられたという悔しさはなく、むしろ感心したようでもあった。
オーディス「しかし種明かしが早すぎましたね。もう私の『眼』はごまかせませんよ」
言って構えをとる。基本戦略は『待ち』のようで、サザエのほうから攻める。
サザエの右のストレート。拳は『流』の次元気に押され、不自然に加速する。
オーディスはそれを避けるが、いつものようにカウンターを狙うようなことはせず、一定の距離を保つ。
続けてサザエは右の膝蹴り。しかし、ヒザが届く前に『流』がサザエの体を持ち上げ、位置的には
顎を狙う飛び膝蹴りとなる。予備動作なしで飛び膝蹴りが来たらきついだろうが、
『義眼』によって次元気の動きも計算に入れていたオーディスは、簡単にかわした。
サザエは再び空中に身を晒すことになるが、オーディスは追撃したらさっきのように裏をかかれると判断し、
サザエが普通に着地するのを待つ。
間をおかず、サザエは地面に這うように低い体勢から足払いをかける。
オーディスは迎え撃つつもりだったが、サザエの次元気によって両足を拘束されていた。
「!!」
足が動かないためまともに足払いをくらい、倒れる。
しかし、受身をとることもなく、視線はサザエから決してそらさない。
不自然に倒れることになったが、気にしない。
受身をとってサザエの追撃を防ぎそこねたり、視線を一瞬でもそらしてしまうほうがよほど問題であった。
(ということをオーディスが戦いながらモノローグで解説している)
サザエは『踏みつけ』にくるが、わき腹をねらって踏みつけにきた足を、腕で無理やりガードした。
転がって逃げたら、一瞬サザエが視界から消える。それをやってはならない、と判断した。
オーディスは、残った手でサザエの軸足をつかむ。
足を引っ張られて倒されたサザエは倒れながらエルボーするが、今度はオーディスが転がって避けた。
エルボーが命中した床はものの見事に砕け散る。
すぐに二人とも立ち上がり、態勢を立て直す。
オーディス「厄介な技を使いますが、格闘技である限りは私に勝機があります」
サザエ「誰が格闘技で勝つなんて言ったかしら?」
凶悪な笑みを浮かべて勝ち誇ったように言った。
次の瞬間、オーディスが急に苦しみはじめる。
オーディス「ぐ、あ、ああああああ!!!」
敵が目の前にいるにも関わらず、苦しみのあまりのたうち回る。
サザエ「私の奥義の味、どうかしら?」
オーディスは苦しむばかりで返事はないが、それを満足そうに見つめている。
サザエ「こんなものじゃ済まさないわよ」
これまで苦杯を飲まされてきた復讐のチャンスとばかりに痛めつける。
殴り、蹴り、踏みつけ、叩きつける。全く容赦は見られない。
ルーフ「お前、破魔砲を使うつもりなのか?」
倒れたままのルーフがワカメに問う。
『破魔砲』とは、気を動力とする大砲のことであった。
ワカメ「そうよ。ここでTARAを倒せば神歩は戦わずにすむわ。
    あるいは、あなたたちがどっちかを殺すのを阻止するために。
    あなたたちの計画では恐らく…」
ルーフ「計画を見抜いているなら忠告してやろう。今ここでTARAを倒しても意味はない」
ワカメ「…なぜ?」
『なぜそうなるのか?』『なぜ忠告するのか?』どちらの意味で尋ねたのかは不明。
ルーフ「マスオを強制的に強化した結果、恐るべき強さとなった。
    今からならTARAの代役を務められるほどにな」
ワカメ「あのアナゴさんを葬った…」
ルーフ「マスオはある場所に封印している。場所は教えてやらないでもないが…」
ワカメ「なんでわざわざ教えてくれるの?」
ルーフ「俺に勝ったサブに話してやるつもりだった。奴が知りたがっていたかもしれないからな。
    ただ、今からマスオの居場所に行っても無意味だろう。すでに準備は整っている。
    破魔砲で誰を狙い撃つべきか、よく考えておけ」
ワカメ「………」

マスオはあらゆる拘束具で厳重に封印されている。
その前に、ゼビウスが立っていた。
ゼビウス「ルーフ、オーディス、すまぬ。我は……」
神妙な面持ちで機械を操作すると、マスオの封印が解かれた。
そして、もの言わぬマスオの眼が開かれる。

煽り 復讐のサザエ、決断のワカメ、そしてマスオは…

07/01/17のバレ

サザエが何かをやったため、オーディスが苦しんでいる。
まともな抵抗ができないのをいいことに、今までの鬱憤を晴らそうと、あらゆる手段で痛めつけている。
必殺技を使わず、ひたすら痛めつけることに尽力する。
と、オーディスが右腕をサザエに向けてまっすぐ伸ばした。
警戒したサザエは、右腕の延長線上から逃れ、間合いをとった。
オーディスがフラフラになりながらも起き上がる。
オーディス「この状況においても油断しないのですね」
サザエ「右腕(それ)で痛い目にあったからね」
オーディス「やっとあなたの使った技の正体がわかりました。
    自在に次元気を操る技。それで、私の体内に……厳密に言えば
    私の体内を流れる『気』に次元気を混入させたのですね」
サザエ「効いたでしょ。体の中にこの世界に存在しないものが流れるのは…」
サザエは口調で余裕を装いながらも、内心で冷や汗をかいていた。
サザエ(おかしいわ。こうしている今も地獄の苦しみを受けているはずなのに…
    なぜ平気で話していられるのかしら)
オーディス「自分の全身に毒が流れているようなものですね。しかも体内の気が乱されて
    自分の気を練ることができない…一石二鳥の技です。
    しかし…お気づきかもしれませんが、この右腕は機械です。
    『槍』を放つことはできるのです」
サザエ(あの光線が『槍』?)
オーディス「私から二つほど助言させていただきましょう。
    一つは軽々しく敵にとって未知の技を使わないこと。
    私の義眼は全てを見通すのですよ」
彼の左目(義眼)が怪しく光る。
オーディス「もう一つは、この技を使うのは慎んだほうが良いでしょう。
    おかげで、私の技が一つ増えましたよ」
そう言うと、オーディスの体が紫色の気に包まれた。
サザエ「嘘……あなたが次元気を?」
紫色の気をオーディス自身の意思で操っているなら、彼は『絶』を使っていることになる。
いきなり自分の奥義を敵が使ってきたわけだから、驚くのも無理はなかった。
オーディス「古代帝国の文献にも次元気のことは書いてあったのですよ。
    必死の修行もむなしく私には扱えませんでしたが、
    ここに来て習得できるとは思いませんでした」
間合いを詰めて、わざとサザエに殴らせた。サザエの拳は次元気に阻まれ、届くことはなかった。
オーディス「苦痛から逃れようと、体内の次元気を制御するために必死でした。
    そして、私にも極意をつかむことができたのです」
サザエ「なんてこと…っ」
サザエは『流』によってオーディスの体内に気を流すのをやめ、両腕に分厚い次元気を纏う。
サザエはオーディスの『絶』の隙間を狙って拳を繰り出すが、軽く避けるだけであしらわれる。
オーディス「この技の欠点もそれを補う方法も、あなた自身が教えてくれたのです」
サザエは『流』で操った次元気で再びオーディスの足を拘束しようとするが、
オーディスの纏う次元気と相互干渉を起こして、それができない。
オーディス「私はあなたほど器用には使えませんが、次元気を持った者同士の戦いは初めてのようですね」
サザエが両腕だけに次元気を纏ったままラッシュをかける。
オーディスの『絶』の隙間を狙うが、オーディスの体術に阻まれる。
サザエ(純粋な格闘じゃ敵わない上に相手は『義眼』と『絶』を持ってる。
    私が勝つためには………)
サザエはオーディスのわき腹あたりを狙って回し蹴りを叩き込む。
それもオーディスが少し身を屈めただけで『絶』の防御とした。
ここでオーディスが攻撃に転じようとする。回し蹴りしてきた足を掴んで、バランスを崩させようと
強く引っ張った。サザエの身体が引き込まれて、前のめりになる。
オーディスはそこを狙って攻撃を叩き込もうとした。
サザエは、左拳でオーディスを殴るべく、パンチを突き出す。
しかし、正しくはパンチではなかった。左腕を纏っていた次元気が、形状を変えて包丁のような形になる。
サザエは、その『包丁』で『刺す』。
オーディスからしてみれば、パンチと思っていた攻撃が『包丁』による攻撃になったわけだが、
次元気が形状を変える予兆までは義眼でも見れなかったようで。対処できない。
オーディスの纏っていた次元気は、初めは『包丁』を防いでいたが、
一点集中の『包丁』のほうが次元気の密度が濃く、『絶』を突き破っていく。
オーディスはとっさに動いたものの、『包丁』によって脇腹を深く切られた。
サザエ「結果がどうなるかなんて、誰にもわからないものね」
サザエに痛めつけられたダメージも大きく、オーディスはヒザをつく。
それを見て、サザエはトドメとばかりに次元気を圧縮しはじめる。
圧縮した次元気を敵に放つ技、「次元砲」である。
それに対して、オーディスはヒザをついたままサザエに向けて右腕をまっすぐ伸ばした。
オーディス「ムニルは不確定だった情報によって負けてしまいました。
    私も調子に乗って習得したばかりの次元気に頼ったために痛い目を見ました。
    しかし、これから両者が技を放ったらどうなるか、すでに計算できています」
サザエ「挑発のつもりかしら?」
オーディス「事実です。そして、戒めです」
サザエはその言葉をどう受け取ったのか、ますます気を高めてゆく。そして。
サザエ「次元砲!!」
オーディスも同時に右腕から光線を放ち、サザエの放った紫色の球体と空中でぶつかる。
空中で両者がぶつかりあってせめぎあう。
サザエの放ったものは球体。オーディスの放ったものは、本人の言うとおり、『槍』の形だった。
サザエは必死の表情で見守るが、オーディスの顔には表情はなかった。
しばらくせめぎあっていたが、唐突に『次元砲』が大爆発を起こし、『槍』は球体を貫き、サザエを貫いた。
爆発が収まったあとに立っているのはオーディス、倒れているのはサザエだった。
オーディス「この世界のものにぶつかって衝撃を生み出す気の塊と、
    全てを貫き通す『槍』。単なる相性の差でしたが…」
倒れたサザエを見下ろす。
オーディス「私の武器が『槍』でなかったらと思うとぞっとします。それでも私の勝ちですね…」

煽り サザエ、再び敗れる!?

07/01/21のバレ

ワカメ「マスオ義兄さんに…タラちゃんを殺させるっていうの!?」
ワカメのいる場所から数十メートル離れた場所には『塔』がそびえたち、
その頂上ではタラオとイクラが戦っている。
ルーフ「状況次第ではそうなるかもな。お前も見たのならわかるだろう?
    あの力はTARAをも凌ぐかもしれない」
ルーフはすでに起き上がる力もなく、倒れたまま言葉だけで答えている。
ルーフ「だからよく考えろ。破魔砲を誰に向けるべきか」
ワカメ(タラちゃんを倒したらマスオ義兄さんが代わりに戦うだけ…
    マスオ義兄さんを倒したら現状のままあいつらの『計画』は成功する…
    イクラちゃんを倒したらTARAが野放しになる…)
ルーフ「俺はそもそもお前が何をしたいのかもわからないがな」
ワカメ(そう。私は誰かが死ぬような事態を避けたい。
    その上でTARAを倒したい。そのためには…)
そこでワカメはハッと気づいた。
ワカメ「名前が『破魔砲』っていうことは、これは『魔』を倒すためのものなのね?
    ここで言う『魔』は…」
ルーフ「そうだ。TARAのことだ」
ワカメ「それじゃあ、この帝国…いえ、ムー大陸の古代文明そのものが…」
イクラが腕を一振りすると、衝撃波がタラオを襲った。
タラオは両腕をクロスさせてガードする。
威力のほどはわからないが、TARAがガードする必要のある威力があるのは間違いない。
次々と衝撃波を放ち、あるいはタラオに当たり、あるいははずしている。
タラオはガードしてじっと耐える。何発目かをガードした次の瞬間、
タラオはダッシュで間合いを詰める。イクラは次の衝撃波を放つが、かわされる。
タラオ「パターンが稚拙なんですよ」
イクラの眼前まで迫ったタラオがそっと告げる。
そして、零距離(タラオの掌とイクラの身体が接触している)で磯野砲を発射した。
タラオ「いくら力があってもその使い方が下手すぎます」
日が沈んで、あたりが闇に包まれていく。
タラオ「闇…」
タラオ(僕は…TARAは…闇…ずっと闇の中にいる…)
タラオ(TARAが覚醒しているとき…僕は闇の中にいるような気がして…)
タラオ(でも本当はTARAが闇そのものなのかも…)
タラオの視界に、光が入ってきて、夢想から抜け出す。
イクラの方を見ると、イクラこそが光源であった。イクラの全身が、淡い輝きを放っている。
「時は来た……」
突然響く謎の声。
タラオ「誰ですか!?」
イクラの輝きが強くなる。何も見えなくなるほど強くなり、そして大きな地震が起こった。
ワカメ「きゃっ!?」
突然の地震に、ワカメは転倒する。ルーフはもともと倒れている。
崩壊をかろうじて免れていた壁もこの地震で崩れ始める。
ルーフ「ふもとの村の粗末な建物じゃ危ないかもしれないな」
全く取り乱しておらず、落ち着いている。
ワカメ「まさかこれって!」
ルーフ「おそらくな。俺たちの計画がうまく言ったんだろう」
ルーフはそのことには大して関心がないように、横をチラッと見て。
ルーフ「さすがだな。こんな時でも倒れはしない」
気を失ったまま立っていたサブは、この大揺れの中でもなお立ち続けていた。

オーディス「これまで見たものを現実にするという神歩の能力。
    私たちの計画はそれを利用しようという発想から始まっています」
倒れたままのサザエに言い聞かすように、解説している。
そのサザエが聞いているかどうかはわからない。
この部屋でもう一人だけ意識を保っている人間、花沢が問う。
花沢「この地震がそれの影響だっていうの?あなたたちは地震を起こしたいの?」
オーディス「聞いていませんでしたか…私たちの目的は古代帝国の復活。
    ムー帝国とはこんなちっぽけな島に収まるものではないのです。
    これは言っていませんでしたが、大地や大気の『気』の記憶を読み取って
    そこから過去の姿を映像化する機械があるのですよ」
そこで、倒れていたサザエが顔だけ上げる。
サザエ「それじゃあ、あなたたちはイクラちゃんに在りし日のムー大陸の姿を見せたのね…」
オーディス「そうです。これが我々の計画の最終目標。誰一人として自分の目では確認できませんが…」
そこで画面は、建物を上空から見下ろす形になる。
さらに高い視点からもっと広い範囲を。さらに高い視点からもっと広い範囲を。
雲を見下ろすほどの高さからみても、海は見えない。
さらに高い視点から見ると、現実の世界地図とは全くことなる形になっていることに気づく。
オーディス「ムー大陸は、今ここに復活したのです……!!」
太平洋の中に、大陸が現れていた。

煽り 古代帝国復活!

07/01/23のバレ

オーディス「これが私たちの最終目標…ムー大陸の復活です!!」
感慨深げに、そして高らかに宣言する。
花沢「なんでそんなこと言い切れるのよ!空から見たっていうの!?」
オーディス「あなたに言ってもわからないでしょうが…『感じる』のですよ。
    我らの大地がその姿を取り戻したことをね。そうでしょう、サザエさん?」
急に改まってサザエのことを呼ぶ。
オーディス「あなたがたも『感じて』いるはずです。磯野家は私たちと同胞だったのですから…!」
サザエ「なんのことかしら…」
倒れたサザエが苦しそうに言う。
オーディス「あなたのおかげなんですよ。神歩が真の力を取り戻したのは」
『一万二千年前のムー大陸沈没のきっかけとなったTARAと神歩の戦いを再現した立体映像があって、
サザエが次元気を使ったことで過去の映像を完全に再現することに成功し、それをイクラに見せた』
ということを、事態を理解していなかった花沢に説明した。
つまり、『見たものを実現する能力』でかつての神歩の力を体現したことになる。
そして、その力で大陸を復活させた。彼らの計画には、神歩こそが重要であった。
花沢「それだと、神歩とTARAの戦いでまた大陸が沈没するかもしれないじゃない」
オーディス「ですから、いくつか手を用意してあったのですがね…」

ワカメ「あなたたちはTARAを殺すつもりなのね」
ルーフ「初めは俺たち三元老の誰かがやるつもりだった。俺の“魔弾”か、オーディスの“槍”か、
    ゼビウスの“力”か…三人でTARAを殺せると思っていた」
ワカメ「果たしてできたのかしら」
皮肉を込めてワカメが問う。
ルーフ「無理だろうな。ゼビウスはTARAに勝てなかったし“魔弾”はサブを倒せなかった」
ワカメ「次の手段がこの『破魔砲』…魔とはすなわちTARAのことね」
ルーフ「第三の手段はマスオ…オーディスはあれを無限覚醒マスオと呼んだ」
ワカメ「大したものだわ。他人を洗脳して子殺しをさせるなんてね」
またもや皮肉を込めてワカメらしくない台詞をはく。
ルーフ「確かにそのとおりだがまるっきり他人でもないだろう。俺たちは遠い昔は同胞だったはずだ」
ゼビウスは拘束を解かれたマスオに向かって話しかけている。
洗脳されているマスオが話を聞いているかどうかは甚だ疑問である。
ゼビウス「ムー大陸の復活…手始めにやるべき計画はTARAを復活させることであった。
    TARAが存在せねば神歩は存在しえぬと言われていたからだ。
    我らとムニルは伝承に従い帝王TARAを復活させ、神歩が復活するよう仕向けた。
    もっとも、ルーフは帝国最強の『兵器』が動くところを見たかっただけであったし
    我はこの手で帝王TARAを倒したくて計画に乗ったにすぎぬ。
    オーディスも何か含むところがあったのかもしれぬな」
ここでゼビウスはマスオを見据える。
ゼビウス「我はTARAに勝てなかった…それでも全てを諦める気にはなれぬのだ!!」

ルーフ「お前も『感じて』いるのだろう。この大陸が復活したという事実を。それにここから
    見える景色…周囲に木々が茂っている」
ワカメ「『感じる』って本気で言ってるのかしら」
ルーフ「とぼけるならそれでもいい。お前の血族がTARAであることに変わりはない。
    俺たちやそこの男と血縁があるのがそんなに嫌か?」
ルーフの言う「そこの男」とは、黒いフードを被った男のことである。
ワカメ「日本では六親等までを親戚っていうのよ。こんな古ぼけた縁に興味はないわね」
ルーフ「だが奴らの言うままに神歩を復活させたのも事実だ」
ワカメ「きっかけはどうあれ神歩が復活したのは私の意志でもあるわ」
ルーフ「奴らの意志であり、俺たちの意志でもある。奴らは帝国に潜入して打倒TARAを狙っていた。
    直接的な目的は神歩の復活だったから、俺たちはそれを承知で侵入を許していた」
黒フード「私たちも利用されているのは承知で動いておりました…神が復活するならと」
ルーフ「いいや、お前たちは知らないのだ。古代の帝国が何のために存在したのか」
オーディス「私は知りたかったのです。なぜ栄華を誇った古代帝国が滅びなければならなかったのか…
    この大陸が再び滅びないようにするための予防策が欲しかったのも理由の一つですが」
オーディス「私の求める答え、そのいくつかはあの立体映像が見せてくれました」

かつての姿を取り戻した大陸を舞台に、TARAと神歩が戦いを繰り広げる。
読者の目に見えるものがタラオとイクラの戦いなのか、件の立体映像なのか、
単なる回想シーンなのかはわからない。立体映像か回想シーンだとしたら、
かつてのTARAと神歩もタラオとイクラそっくりだったことになる。
ともあれ、“TARA”が大地も割れるような力を持った拳が“神歩”に突き刺さる。
“神歩”の体は黄金に輝いていて、これが効いたのかどうかはわからない。
神歩「ha-i」
呪文の詠唱の直後、あたりが大爆発を起こす。“TARA”どころか“神歩”までそれに巻き込まれているが
こたえた様子はない。さらに“神歩”が指からビームを放つが、“TARA”はそれを絶妙な体裁きでかわした。
そこから体をひねって反動を使って反撃。“TARA”の拳が“神歩”の頭を殴り飛ばす。
“神歩”は吹っ飛ばされ、距離があく。ここで二人は磯野砲、またはそれに似た攻撃で撃ち合う。
攻撃は拮抗し、互いにダメージを与えないが、その余波で周囲の山林が吹っ飛んだ。
神歩「この流れはつまらん」
いきなり言葉を発して空を見上げる。
神歩「つまらんよお前ら」

オーディス「無限に続くかと思われた戦い…そこに『あの一族』が現れたのです」

煽り 現実か、伝説か、真実はいずこに…

07/01/28のバレ

オーディス「TARAと神歩の力は拮抗し、戦いは永遠に続くかとも思われました。
    そのとき、あの一族が現れたのです」
回想シーンなのか立体映像なのか。少なくとも現在でないことは間違いない。
描かれた『その一族』は現在の磯野家そっくりの外見をしていた。
オーディス「彼らがどこから来たのか、全くわかっていません。
    ただ、凄まじき力を持った一族とだけ伝えられています。
    よくよく考えてみれば彼らは同時に現れたというだけで、
    同門の者であるという保証はどこにもないのですが……
    しかし私は確信しています。あなたがたが『あの一族』の末裔です」
再び過去のシーン。
力を奮って戦う“TARA”と“神歩”の戦いに、『マスオに似た男』が割って入る。
その『マスオに似た男』は、とても理性を保っているようには見えないが、
“TARA”に迫り、互角の戦いを繰り広げた。
さらにそこに、『サザエに似た女』がやってきて、『マスオに似た男』を阻止すべく戦いを挑んだ。
『サザエに似た女』は『波平に似た男』と一緒に戦い、なんとか『マスオに似た男』を抑えている。
『ノリスケに似た男』と『タイコに似た女』はすでに力尽き、“神歩”の勝利を祈る。
“TARA”は『リカに似た少女』の精気を吸引し、パワーアップ。徐々に“神歩”を追い込んでゆく。
『フネに似た女』の策略と『カツオに似た少年』の命がけの特攻で“TARA”にわずかな隙が生じ、
“神歩”の光の力で“TARA”を倒した。

回想シーンとして書かれた一連の出来事は、
TARAが初登場した『劇場版(03冬)』の内容、話の流れそのままであった。

オーディス「そう…私たちが見たこれは一万二千年前の出来事なのです」
詩でも読むように、静かに告げた。
オーディス「映像で見たときは衝撃的でした」
映画を鑑賞し、その感想を述べているような口調で言う。
花沢「ちょっと待ってよ、話が違うじゃない!大陸が沈没したんじゃないの!?」
オーディス「見せ物だったら戦いが終わった時点で話は終わるのですがね。
    現実はそうはいきません。破局はその後で起こる『予定』なのです。
    同じ悲劇を繰り返さないために私は何ができるか…。
    TARAと神歩の戦いを変えた要素…『あの一族』を排除すればいいと考えました。
    そう…サザエさん、あなたを殺すのです!!」
次の瞬間、サザエは瞬時に飛び上がり、オーディスに飛び蹴りを叩き込む。
オーディス「…っ!!」
倒したと思った相手が思わぬ反撃を仕掛けてきたことに動揺し、しかしすぐに立て直す。
オーディス(もう逃しはしません…)
オーディスの義眼でサザエの動きと気を解析する。
サザエ「はっ!!!」
サザエの動きに全神経を集中させていたオーディスの正面から迫り、正面から拳を叩き込んだ。
オーディスが全く反応できないほどの圧倒的なスピードだった。
サザエ「ふざけるのも大概にしなさい…」
吹っ飛ばされて倒れたオーディスを見下ろす。
サザエ「予定だとか計画だとか…そんなもので私は縛れないわ!!」

煽り サザエが往くのは過去か未来か…反撃開始!

07/01/30のバレ

太平洋の真ん中に、いきなり大陸が現れる。
世界各国でそのことが報道されていた。
当然のことながら原因がわかる者などおらず、無根拠な推測が飛び交う。
中には、孤島で発見された遺跡との関連を指摘する者もいたが、そういった推測と同様に扱われる。
イササカ一家も自宅でその報道を見ている。
オカル「あなた、これはまさか…」
ウキエ「でもそれ以外に考えられないわ」
イササカ「甚六…磯野さん…」
まともに立つことすらできないイササカは、ただ祈るしかなかった。

アナゴ「ここは…私が倒れていた場所ではないか」
巡り巡って、ついさっきまでアナゴがオーディスに敗れ、倒れていた場所にたどりついた。
アナゴがいるのは闘技場、ここの呼び方に従うなら闘士場の観客席にあたる場所。
戦いの舞台では、ゼビウスとマスオが激闘を繰り広げていた。
『覚醒』したゼビウスと洗脳強化、あるいは『無限覚醒』したマスオ。
波平にすら打ち勝ったゼビウスの、全力を込めた拳がマスオの胸板に命中する。
しかし、明らかに命中したはずなのに、その力は受け流されて、ノーダメージとなった。
ゼビウス「何と!」
アナゴ(完璧に入ったはずの技を、柳のように受け流してしまった…
    「かわし」の技術はまだ進化しているのか!)
マスオはゼビウスの伸びきった腕をとり、関節技を極めた。
ゼビウス「させぬ!」
肘の関節を逆方向に曲げようとするマスオに対し、力だけで対抗するゼビウス。
しかし、パワータイプであるはずのゼビウスが全力を出しているのに、マスオを翻弄できないでいる。
ふと、マスオが一瞬力を抜いて、ゼビウスは不意をつかれて腕をあらぬ方向に振る。
次の瞬間、マスオの掌底が炸裂。力を込めたようには見えないが、威力は大きいようで、
体格の大きいゼビウスが飛ばされ、転がされた。
転げたゼビウスは観客席にいるアナゴの姿を認めた。
ゼビウス「貴殿は…マスオと戦った男だな。この戦いを見届ける者がいるとしたら
     貴殿が最も相応しいかもしれぬ」
アナゴ「なぜ戦っているんだ!フグ田くんを洗脳して私と戦わせたのは君たちではないのかね!」
ゼビウス「貴殿が不審に思うのも当たり前だ。我が今やっていることは、紛れもなく背信行為なのだ。
     それでも我はやるしかなかったのだ。我の弱さを克服するために…」
アナゴ「弱さ…?今の君は…」
アナゴ(最終リミッターを解除した波平さんに匹敵するかもしれない…)
ゼビウス「ナミヘイが我と戦ったとき、ナミヘイは最後の最後まで力を使い果たしたのだ。
     それが我にはできなかった……
     我より強い者…TARAと戦っても、我はただ敗れただけだった…
     我が限界を見ることができなかったのだ……」
ゼビウス「勝っても負けても同じことであった…
     我は我を超えることができない、これ以上強くなれないと思い知らされるのみ。
     強さのみを追い求めてきた我にとって耐え難い苦痛であった……
     貴殿にわかるか、この気持ちが…!!」
アナゴ(…わかる……かもしれない……)
言葉には出さなかったが、ゼビウスの言うことを肯定していた。
ゼビウス「それでも我はまだ諦めきれぬ。限界にたどり着いたナミヘイのように…
     自分自身を呑み込む闇に打ち勝とうとしているタラオのように…
     自分の限界を超えようとしているマスオのように…
     我は挑みたいのだ。ルーフやオーディスを裏切ることになろうとも…!」
アナゴ「君たちには、やるべきことがあるのではないのかね…?」
ゼビウス「心配はいらぬ。オーディスが負けるはずはないのだから」
オーディス「ぐばっ!!」
そのオーディス。サザエの攻撃になすすべもなくやられている。
オーディス「もっとだ。もっと『気』を観測して…!」
義眼でサザエを正面から捕らえる。
そのサザエは、真正面から何の工夫もなく間合いを詰め、そして正拳。
あまりにも単純な攻撃に、オーディスは反応すらできずまともに食らう。
サザエ「まだわからないのかしら。あなたには勝てる要素が一つもないことが」
オーディス(サザエの『何か』が変わったのだ…その『何か』を測定しなければ…!)
少なくともサザエに何かの変化が起こったことは間違いない。
義眼がフル稼働で動く。サザエだけでなく、この部屋に存在する全ての気を観測する。
オーディス「お、お前は何者!?」
明らかにサザエを見ているのに、質問を投げかける。
それにサザエが答えていわく。
サザエ「うちのご先祖様よ」
サザエの背後には磯野藻屑源素太皆の霊体がいた。
サザエ「私たち、あなたにはさんざんやられてきたわね…
    全力で潰させてもらうわよ」
静かな物言いのあとで、気を高める。霊体の素太皆も一緒に磯野砲のポーズをとり、
これまでにないほどの大きさの気を溜める。
大気が振るえ、地面が揺れ、これまでの激闘でダメージを受けた壁や天井が崩れる。
オーディス「私は…まだ負けるわけにはいかない!!」
右腕を伸ばし、サザエに向かって、本人曰く“槍”、つまりは光線を発射する。
サザエ「無駄よ!!!」
磯野砲を放った。圧倒的な気はオーディスの光線をかきけし、
圧倒的な光量はオーディスをのみこみ、莫大なエネルギーが爆発を起こす。
サザエ「ご先祖様は敬っておくものね」
自分にとり憑いていた素太皆に軽く礼を言った。

煽り 磯野藻屑源素太皆、ここにあり!

07/02/03のバレ

サザエ「さすが磯野流開祖ね」
自分の磯野砲の破壊跡を見渡してひとりごちた。
サザエ(憑依しただけでこれほどの力を発揮できるなんて……)
ふと疑問がわきあがって、尋ねてみる。
サザエ「瀕死だった私に憑依できるんならカツオでもよかったんじゃないかしら?」
素太皆「拒絶されたわい。戦いの邪魔をするなとな」
サザエ「あの子にもこだわりがあるのかしら?」
改めて破壊跡を見渡す。
磯野砲の影響でサザエより前が平地になってしまっている。当然屋根も壊れているので、
タラオとイクラが戦っている「塔」がそこからでも見えた。
サザエ「あそこにいるのね」
サザエ「もし奴らがマスオさんにTARAちゃんを襲わせるつもりなら、
    私はそれを阻止することになるかしら」
サザエ(あの『映画』の流れに従うわけじゃなくて、私がそうするべきだと感じるから…)
素太皆「そうそう、言っておかねばならぬことがある」
サザエ「何かしら?」
素太皆「どうも霊場の強いここでしか力を貸せぬようじゃ。
    憑依をとくとさっきまでの怪我の痛みが全身を襲うことになろう」
サザエ「痛いのが嫌だからここに留まる、なんて言う馬鹿は磯野家にはいないわよ」
その言葉に答え、素太皆はその場から消えた。
サザエ「ぐふっ」
全身から血を噴き出し、倒れる。
サザエ「まだ…!」
全身を襲う痛みに耐えながら、這うように歩を進める。
ゼビウス「それにしても恐るべきはこのマスオの『かわし』の技術よ。
     完全に命中させたはずであったが…」
マスオはもの言わぬまま悠然と構えている。
ゼビウス「だが、どんな技を使おうともかわせぬものもある!」
ゼビウスが気を練ると、ゼビウスの体が雷を纏った。
ゼビウスの周囲数メートルの広い空間に電撃が展開し、マスオも巻き込まれる。
ゼビウスが覚醒しているためか、波平戦のときより雷は強力だった。
アナゴ「いくらフグ田くんでもこれはかわせないだろうが…」
ゼビウス「くらえいっ!!」
マスオに向かって突進する。雷を纏った右拳でストレート。
マスオはそれを紙一重で左にかわし、ゼビウスの右拳はマスオを追いかけるように裏拳。
動かなければ顔面に決まるはずの裏拳は、マスオがわずかに身を屈めて、マスオの頭上を通り過ぎる。
ゼビウスの体が開いてしまったところを逃さず、マスオの寸勁。
瞬間的に力を爆発させた一撃に、ゼビウスの巨体が飛ばされる。
だが、マスオも雷をまとったゼビウスと格闘戦を演じたために、全身に電撃を受けている。
アナゴ「確かにあれはかわしようがないが…フグ田くんは肉体の頑強さでも優れている。
    あの程度の雷で倒れるほどヤワではない…」
ゼビウス「確かにな。この程度で倒れるとは思えぬ」
うまいことやられた直後だが、まだ余裕が見える。
ゼビウス「ぬううううう……ぬんっ!!」
マスオに向かって拳を突き出すと、頭上からマスオに向かって雷が落ちてくる。
しかし、マスオはそれをも避けてしまった。
アナゴ「雷をかわした!?」
驚愕するアナゴに対し、冷静なままのゼビウスが再びマスオに突進する。
再び右ストレートで、マスオは前回と同じようにかわす。さらに、ゼビウスも同じように裏拳を繰り出す。
アナゴ(だめだ、同じことをやっても同じ結果にしかならない!)
そのアナゴの考えに反して、マスオの顔面に裏拳がかすめた。
アナゴ「なっ!?」
続けざまに左拳で、すくいあげるようにマスオの顔面をアッパーでとらえた。
アナゴ「当たった!?」
マスオは左拳が当たって吹っ飛ばされるはずだが、飛ばされたあと、ゼビウスに引き寄せられている。
アナゴ「静電気の力で引力が発生しているのか!!」
ゼビウス「そのとおり、我が雷は日常で起こりうる静電気を遥かに凌駕する」
アナゴ「その引力がわずかに『かわし』の体捌きを狂わせる…!」
足元の定まらないマスオを蹴っ飛ばし、距離を離す。
その離れたところから、ゼビウス向かって引き寄せられ、加速する。
ゼビウス「はああああああああああ」
あらん限りの気をぶつけようと、気を練る。
ゼビウス「かあああああああああっ!!!」
全ての気を拳に込めて、マスオにぶつけた。
その瞬間、気と雷が爆発を起こし、爆音を轟かせ、閃光で何も見えなくなる。
アナゴの視界が回復すると、息を切らせて立っているゼビウスと、
大ダメージを受けて倒れているマスオがいた。
アナゴ(私はこの状態のフグ田くんに『かわし』の技を使わせることすらできなかった。
    それを…)
さすがに軽傷ではすんでいないマスオだが、それでも起き上がった。
ただ起き上がっただけでなく、マスオの発する『気』がさらに強くなっている。
ゼビウス「そうだ…限界を超えて向かってくる貴殿を倒したとき…我は我を超えることができる!」
アナゴ(限界…私の限界は…)
胸中に葛藤を抱えるアナゴ。そして、激闘を経てなお気迫の衰えない二人が対峙する。

煽り 限界を超える者、限界を超えんとする者、勝利はどちらに…!

07/02/06のバレ

ゼビウスの一撃はかなり強烈だったらしいが、それでもマスオは立ち上がり、強大な気を放つ。
ゼビウス「素晴らしい…重傷であることを感じさせぬ…むしろ先ほどよりも強い気を放っておる」
倒した敵が復活したというのに嬉しそうであった。
またもや周囲に雷を展開し、体に雷を纏ってマスオに向かってゆく。
マスオも、静電力によってゼビウスに引き寄せられる形でゼビウスとの間合いを詰める。
ゼビウス「ぬんっ!」
ゼビウスの単純なストレートを、今度はマスオは絶妙なタイミングでかわした。
次の瞬間、マスオはゼビウスの懐にもぐりこみ、顎を狙って掌底。
急所をねらった一撃に、ゼビウスはよろめきかける。
アナゴ(ダメだ、引力が働いた程度ではすぐに慣れてしまう。
    さっき成功したのは不意打ちにすぎん!)
追いすがるマスオのエルボーを、今度はゼビウスがわずかな動きで避ける。
エルボーに続けての裏拳にタイミングを合わせ、クロスカウンターの形で、互いの裏拳がヒットした。
体格の差から、マスオの拳はゼビウスの胸に、ゼビウスの拳はマスオの顔面に当たる。
マスオはさらに右脚による回し蹴りを叩き込もうとするが、次の瞬間に軸足を脚払いされて倒れる。
倒れたマスオめがけて、ゼビウスが拳を振り下ろした。ゼビウスの右拳には全ての雷の力が集っている。
ゼビウス「天・雷・轟!!」
技名らしきものを叫ぶ。轟音を轟かせ、電気はショートを起こし爆発を起こし、
建物が揺れ、地面にひびが入る一撃がマスオに命中した。
アナゴ「今の脚払いは、フグ田くんの動きを予測していたかのような動きだった…」
技の余韻にひたることなく、アナゴがつぶやく。
ゼビウス「人間の筋肉が収縮する際に発生するわずかな電気…
     それを感じ取ることができたのだ!やはり戦いは我を強くしてくれる…!」
さっきのもかなりのダメージだったはずだが、それでもマスオは再び立ち上がった。
ゼビウス「そうだ…貴殿を倒せば我はまた一つ壁を越えられるであろう…!」
嬉しそうな表情とは裏腹に、技を使ったゼビウスのほうも息も絶え絶えであった。
アナゴ「やめるんだ!もう君は体力も気も使い果たしている!!
    それ以上やったら体がもたない!!」
ゼビウス「敵の心配をしている場合ではなかろう…!」
アナゴ「うっ…」
アナゴ(私は何をしているのだ…)
ゼビウス「我は限界を迎えるためにマスオと戦っておるのだ。
     今の我にとってこれ以上望ましい相手はいなかろう」
そういい捨てて、マスオに向き直る。
ゼビウス「はあああああああああああ!!」
気合の雄たけびとともに、これまでにないほど気を高める。その気によって、建物は振るえ、
遠くで見ていたアナゴが、戦いを見るために足を踏みしめなければならないほどの強風に煽られた。
アナゴ(私は…情けない…)
アナゴが、歯軋りした。
アナゴ(私にどれだけ力があろうと…今の私は単なる観客…単なる弱者ではないか!)
ゼビウスを見据え、叫ぶ。
アナゴ「ゼビウス、君は死ぬ!!」
ゼビウス「…よかろう」
ゼビウスは笑い、さらに気を高めた。
ゼビウス「マスオよ、我が最後の拳、しかと受け止めよ!!そして、アナゴよ…!!」
ゼビウスが叫びながら、突進してゆく。
ゼビウスの拳が命中する瞬間、マスオもゼビウスへ向けて拳を命中させていた。

サザエが傷ついた体を引きずって、タラオとイクラの戦う場へと向かう。
サザエ「奴らの企みがうまく行っていれば、マスオさんが戦いに割ってはいることになるはず…」
そこに、サザエとは異なる方向から戦場へと近づく人影があった。
遥か遠くに離れたそれを目を凝らして見ると、動けることが疑わしいほどの傷を負っているものの、
それは確かにマスオであった。
ゼビウス「アナゴよ…見てくれたか……我が最期の拳を…」
全身ボロボロになって倒れたゼビウスが問いかける。もはや虫の息である。
アナゴ「見たとも。見事だった…!」
そのすぐ傍に跪いてゼビウスの言葉に耳を傾ける。
ゼビウス「あの瞬間…我は我を…超えていた…我はそう思う……」
ゼビウスを見つめるアナゴを、ちらりと見返す。
ゼビウス「そんな顔をするな…我は満足しておる……
     長い間、我を苛み続けた…その苦しみから…解放されたのだからな……」
アナゴ「私は…」
ゼビウス「貴殿に頼みたい…マスオを止めてくれ」
アナゴ「私はフグ田くんを助けるためにここに来たのだ。言われるまでもない。だが、本気で言っているのか?」
ゼビウス「わかっておる。これは裏切り行為なのだ。それでもマスオに対してけじめをつけておきたいのだ」
アナゴ「わかった。君のその頼み、聞き届けよう」
ゼビウス「もう一つの頼みだ…貴殿は貴殿のやりかたで、己を超えてくれ…!」
アナゴ「…っ! “完全体”である私はもはや……」
ゼビウス「己の強さを極めたはずなのに…さらに立ちはだかる壁を越えられない…
     そんな貴殿だからこそ、頼むのだ。だから我の戦いを見届けてくれたのであろう?」
アナゴ「私に…できるだろうか…」
ゼビウス「我の分まで強くなれ、などというのはおこがましいが…証明してくれ…
     人間は意志ある限り、強くなることができるのだと…
     我の最期の戦いが無駄ではなかったと……」
アナゴ「私は…」
ゼビウス「躊躇うふりをしても無駄だ…貴殿の体はもう戦いたがっておる…」
アナゴは無言でそれに答えた。
ゼビウス「何故か他人のような気がせん…我の最期を看取ってくれたのが貴殿でよかったと…
     何故かそう思え…」
それがゼビウスの最期の言葉だった。さっきまでの激しい戦いが嘘のように、静かに息を引き取った。
アナゴ「そうだ…私は戦わねばならないのだ…命ある限り!」
ゼビウスの亡骸を置いて、歩き出す。
アナゴ「この先に、君がいる…私を遥かに超える力を持つ、君が!」

煽り そして、男は戦い続ける…!

07/02/10のバレ

黙々と歩いているマスオは、一言でいえば異常だった。
理性がありそうに見えない。自分の血なのか返り血なのか、血まみれであり、
本人もかなりのダメージを負っているように見える。
それにも関わらず普段のマスオからは考えられないほどの気を放っている。
サザエ「今の私じゃまともに戦えない…もったいぶってる暇はないわね」
サザエも重傷を負っている。むしろマスオより重傷である。
サザエ「悪く思わないでね!」
目を凝らして互いの姿がやっと見えるというほどの距離だが、
サザエは次元砲の構えをとり、次元気を圧縮する。
サザエ「私の疲労度からして、撃てるのはこれで最後…!」
この時点でもはや自分の足では立てず、膝をついた。
足をガクガクさせながらも無理矢理立ち上がり、『塔』のふもとまで歩く。
マスオは『塔』に向かってまっすぐ歩いており、サザエは『塔』の物陰に身を隠す。
互いの距離があと数メートルというところまで近づいたとき。
サザエ「次元砲!!」
完全な奇襲。しかし、マスオはそれを絶妙な身のこなしでギリギリでかわした。
サザエ「爆・砕!!」
次なるサザエの掛け声と同時に、次元砲が大爆発をおこす。
ギリギリのところで避けていたマスオはそれをもろに食らった。
近くにいたサザエ自身も巻き添えを受け、吹き飛ばされて気を失う。
爆発を受けたマスオは、さらに重傷を負い、血まみれになったが、またも莫大な気を放ち、立ち上がる。
アナゴ「フグ田くん…そこまで強くなれることは羨ましいが、
    君自身の力でないとしたら悲しいと思うよ…」
追いついたアナゴが、マスオに立ちはだかった。すぐさま完全体へと変化する。
ワカメ「間違いないのね、ハチ」
問われたハチはワン!と答えた。
ルーフ「な、何者だ」
ワカメ「アナゴさんからの伝言があったの。『私がフグ田くんを足止めするからそこを撃て』ってね」
ルーフ「ではTARAは撃たないというのか?確かにあの『過去』の出来事に沿えばTARAを倒せるだろうが…」
ワカメ「TARAとか神歩とかじゃなくてタラちゃんはイクラちゃんと戦うべきだと思うから。
    あの『映画』の流れに従いたいとかいうことでもないわ」
ルーフ「そうか。まあ俺が口をはさむことでもあるまい」
ワカメは、大砲の照準をマスオにあわせようとする。
黒フード「お考え直しください、ワカメ様」
唐突に黒フードの男がワカメを羽交い絞めにし、喉元にナイフを突きつける。
黒フード「今は神歩を勝たせることをお考えください。神歩は勝たなければならないのです」
口調は丁寧だが、やっていることは脅迫である。
ワカメ「あなた、自分の立場わかってる?」
冷めた口調で言う。
黒フード「私どもが何よりも優先するのは神歩なのです」
ワカメ「私が聞いてるのはそのことじゃないわよ」
ワカメの暗器が、いつのまにか黒フードの男の腹部に刺さっていた。男は何も言わず崩れ折る。
次の瞬間、何もない空間に闇がわだかまったと思うと、二人の黒フードの男が現れ、ワカメを襲おうとした。
さらに次の瞬間、そのうちの一人を意識のないままのサブが、別の一人をルーフが瞬殺した。
ルーフは全快ではなく、再び倒れてしまう。
ワカメ「助けてくれたの?」
ルーフ「サブが同じことをしたからな。今はそれよりも…」
ワカメ「ええ…」
マスオに照準を合わせるべく、スコープを覗き込んだ。
そこには、必死にマスオと戦うアナゴの姿があった。
戦うと言っても、まともな戦いになっていない。
アナゴの力ではマスオには全く敵わず、返り討ちにあって倒されている。
しかし、何度倒されてもすぐに立ち上がり、マスオの前に立ちはだかる。
立ち上がっては倒される。倒されては立ち上がる。
圧倒的な力と『かわし』の技を持つマスオに攻撃を当てることもできないが、それでも諦めない。
マスオもこれまでの戦いで重傷を負っているが、アナゴはそれ以上だった。
血反吐を吐き、肉は抉り取られ、ときどき身体が不自然な方向に曲がる。
それでも何度も何度も立ち上がってはさらに深い傷を負う。
そのアナゴの姿は、音が伝わってこないだけに、凄惨さを感じさせた。
ワカメ「なんでそこまで…」
思わずつぶやいた。
ワカメ「相手はマスオ兄さん…全てはタイミングよ…」
アナゴの戦いを見守り続ける。
アナゴは立ち上がり、マスオは倒し続ける。
「ぐふっ」
いつの間にか現れた黒フードの男を、サブが意識がないままに倒す。
ワカメは、そっちの方は完全に無視して集中する。
殴っているマスオの拳のほうが傷を負っても、まだアナゴは立ち上がる。
幾度とない繰り返しの果てに、アナゴはマスオの顔面に拳を命中させた。
すぐに反撃をくらうが、再び攻撃を当てる。さらにボディブローが命中した。
ワカメ「今よ!」
ワカメの操作により、気結晶が光を放ち、『大砲』が発射された。
ボディブローを受けて反撃に出たマスオ。そこに巨大な光の奔流がやってきた。
磯野砲の数倍、あるいは数十倍の規模の気がマスオとアナゴを飲み込む。
気の軌跡は地面を不自然に抉りとり、その軌道上にもう立ち上がらないアナゴとマスオの姿があった。
ワカメ「アナゴさん…これはアナゴさんのおかげよ」
遠くを見つめ、一人呟いた。

煽り 少女は男の覚悟を見た…

07/02/13のバレ

『破魔砲』によってマスオとアナゴが倒れた。
この建物に攻め入った村人たちも迎え撃った兵士たちもほぼ全滅し、
元老たちは全滅、サザエ側もほぼ全滅。

ワカメ「これであとはタラちゃんとイクラちゃんが戦うだけね」
ルーフ「…いいのか?神歩が負けたらもうTARAを倒す手立てはないのだぞ」
ワカメ「私は、もう見守るだけよ。TARAと神歩じゃなくてタラちゃんとイクラちゃんの戦いをね」
ルーフ「そうか…帝国としてはTARAを倒すべきだが…俺にとってはどうでもいい」
黒フード「まっ…待ってくだされ」
サブとルーフに倒された黒フードのうちの一人が虫の息ながらも必死の形相で問いかける。
黒フード「なぜ…帝国が…、TARAを、倒すの…ですか」
ワカメ「まだわからないの?ムー帝国は…いや、このムーの文明そのものが
    TARAを倒すために作られたものなのよ」
わかりやすく結論から言ったつもりであったが、答えを聞いた時点で男は事切れていた。

カツオ「ほらっ、生きてるか」
瓦礫の中から掘り起こしたオーディスに平手打ちをかまし、気付けをしようとする。
花沢「こっちは見つけたわよ」
こちらも瓦礫に埋もれたムニルを、花沢が掘り起こして連れてきた。
直後、オーディスが気絶から立ち直った。
オーディス「……そうか、私は……」
数秒の思考のあと、事態を把握する。
オーディス「私にもあなたにも戦う力は残されていません。どうしようというのですか…」
すでにボロボロのオーディスは、起き上がることもなく力なく問いかけた。
カツオ「さっき花沢さんから聞いた。一万二千年前のなんとかって。
    そのとき『俺』はどうやってTARAと戦った?」
オーディス「今のあなたに何ができるというのです…」
カツオ「何かができる。生きてるうちはな」
しばし黙り込んだあと、告げる。
オーディス「何ができるのか考えてもらってからにしましょう。話せることは全て話して…」
ムニル「オー…ディス…様……」
オーディス「私たちはもう負けた。運命は勝者に委ねよう…」
オーディスは語り始めた。

ムー大陸も、元々は大した技術を持っていたわけではなく、自然の恵みだけで平和に暮らしていた。
そこに“TARA”が現れた。強大な力を持つ“TARA”は弱者を蹂躙していく。
人々が“TARA”の暴力を抑える手段としたのは、それまで存在していた国家の体制を崩壊させ、
帝国を作り上げ、そこにTARAを帝王として据えることだった。
元老という地位を用意して政治は彼らが執り行う。『強い者ほど地位が高い』という身分制度で
不用意にTARAに挑んで命を落とすことのないようにする。武闘大会と称してTARAに戦いを挑ませることで
一応はTARAの犠牲者を最小限に抑える。時々、自己犠牲の精神の強い、あるいは無謀な元老が挑んでは
返り討ちに会うこともあったらしいが……。
一方、実力でTARAに対抗するために『気』を操る技術も発達した。基本的には武器が発達するが、
生活にも応用され、TARAの存在という恐怖を抱えながらも生活はそれなりに豊かだった。
その中で最強の兵器は『破魔砲』だというが、兵器という概念でなければ、もっと強いものがあった。
神歩である。もともとは人工的に作られた『霊』のような存在であり、それが赤子に憑依する
ことによって力を具現化できるという。神歩としての自我がその『霊』のものなのか、赤子のものなのか、
立証できる手段などなく不明のままである。
そもそも『霊』を作ることに成功したこと自体が事故のようなもので、実験による再現性をとることもできず、
こいつが何者なのかも、断言できないという。
とりあえず人心把握のためにTARAを『闇』の象徴とし、神歩を『光』の象徴とする。
そして“神歩”は、『あの一族』の協力もあり、“TARA”に勝利した。
オーディス「神歩の力を以ってしてもTARAの存在は完全に封印できず、仕方なくTARAの魂を二つに分けて
     二人の戦士の遺伝子の中にそれぞれ封印したのです。その子孫が…」
カツオ「磯野家とフグ田家だっていうのか…証拠はあるのか」
オーディス「もちろん私の想像です。私が映像で見たのは大陸崩壊の瞬間までですから。
     ここから先も私の想像ですが、神歩たる『霊』が憑依した人間が死んだ後、『霊』は
     転々と子供に乗り移り、時代を超えてワカメに憑依することになり…」
カツオ「ワカメの中にいるときは『修羅』と呼ばれた。結局ワカメは修羅としての力は発揮できず、
    次はイクラちゃんに…ってわけか」
オーディス「勝利の後、神歩は力を暴走させて大陸を崩壊に導きました。
     おわかりでしょう、なぜ私が考えてもらうと言ったのか」
カツオ「…結局、人畜無害な強者なんていないってことだな」

「この流れはつまらん」
いきなりイクラが言葉を発して空を見上げる。
「つまらんよお前ら」
タラオ「…何者ですか?」
イクラに問いかける。喋ったのはイクラではない、と言いたげな口調と質問であった。
「お前は悪役でなければならん」
すでに日は沈んでいる。それでも空に暗雲がたちこめていることがわかった。

古びた『本』を持つ少女が、二人の戦いを遠くから見ていた。
リカ「私は…どっちに味方したらいいの……?」

煽り 光と闇、人はどちらに寄り添うのか…

07/02/17のバレ

オーディスから意外な話を聞かされてしばし黙り込むカツオ。
カツオ「聞きたいことがあるんだけど」
カツオ「神歩が帝国の作った精神体のようなものだったって話はいいとして、
    その『一族』とかTARAって結局どこから来た何者だったんだ?」
オーディス「…私の最大の目的はそれを知ることだったのですが、結局わかりませんでした。
     想像だけならいくらでもできます。『あの一族』はTARAの親類であるとか
     TARAは異世界から現れた魔物であるとか。しかし私が欲しかった真実はどこにもないまま…」
カツオ「それじゃあ神歩とTARAの対決は善と悪の戦いってわけじゃないんだな?」
花沢「ちょっと、TARAは戦いで人々を虐殺したのよ!」
カツオ「俺たちにとっちゃ普通のことだ」
カツオの一言に黙りこんでしまう。
オーディス「その通り…闇であるTARAを倒すために“神歩”は光としましたが、
     そもそも『光』が善で『闇』が悪なんて誰が決めたというのですか。
     光はその種類や強度によっては人を傷つけるし、人間は夜の闇の中でこそ
     安らかな眠りを得られる…」
カツオ「そういうことだ。俺のやりたいことが決まったよ。
    タラちゃんとイクラちゃんの戦いが殺し合いになったときに二人を止めることだ」
オーディス「今のあなたには無理だと言ったでしょう」
カツオ「それでも戦えるうちは戦わなきゃならない。俺が磯野家(おれ)であるうちはな。
    何も手がないわけじゃないぜ。そこの魔法陣を使えば人を自然の状態に戻せるらしいからな」
カツオはオーディスをつかんでいた手を離し、タラオとイクラが戦っている戦場に目を向ける。
オーディス「待ちなさい」
そちらに歩いて行こうとしたカツオを、呼び止めた。
ルーフ「ワカメよ…お前はほぼ全ての事実を把握している。それならわかるはずだ。
    どちらが勝っても絶対的な強さを持った厄介者が一人取り残されるだけだと」
ワカメ「“TARA”か“神歩”が生き残ればね。でもタラちゃんかイクラちゃんが勝てば
    全ては解決よ」
ルーフ「その二人は同一人物だろう」
ワカメ「“TARA”や“神歩”が発動したことで二人の自我がどうなったのかはよくわからないわ。
    だけど、タラちゃんはTARAを制御し始めてる。ここ何日か、TARAの力を発揮していながら
    タラちゃんらしい行動をする場面が何度かあったわ」
ルーフ「そううまくゆくものか…」
ワカメ「わからないわ。でもそれが残された希望ってこと」
そういい残して、タラオとイクラの戦場へと向かっていった。

カツオ「なんだよ」
呼び止めたオーディスに不満をもらす。
オーディス「恐らくそれは無駄です。あれの効果はその人間をあるべき状態に戻すこと。
     タラオはすでにTARAを制御しつつあります。TARAがタラオにとって
     『あるべき状態』だとしたら…」
カツオ「じゃあどうすればいいって言うんだ!」
オーディス「光と闇がぶつかれば、絶対にただでは済みません。そこに強い気をぶつければ
     両方が抑えられるかもしれません。気結晶はどうやってできるか知ってますか?」
カツオ「それがどうだって言うんだよ」
オーディス「気結晶が生成するためには核が必要です。その核とは、人間の命なのですよ」
ムニル「いけません…オーディス様…」
息も絶え絶えのムニルが、割って入る。が、オーディスはそれを黙殺。
オーディス「あなたはあれを魔法陣と呼びましたが、本来は人間を気結晶にするための装置なのですよ。
     過去にどれほどの人体実験が行われたのか、想像もつきませんがね」
カツオ「………」
カツオは複雑な表情をした。自分がまる一日守ったものに、そんないわくがあったのだから。
オーディス「今のあなたが勝つ方法は一つ。私を気結晶にして武器として使うことです」
カツオ「?…アンタ、正気か!?」
オーディス「条件があります。戦う意志のない帝国臣民の安全をできるだけ確保すること。
     この戦いが終わってもあなたたちはTARAと戦う宿命を持ち続けること…」
カツオ「そんなの自分でやれよ!生きていればできるだろ!」
オーディス「死んでからできることだってあるんですよ。自らが『気』そのものになれば、
     TARAや神歩に直に接触できるかもしれません。確かに私は正気ではないでしょうね」
ボロボロの身体を起こして、魔法陣へと歩く。
オーディス「私は真実を知るためになんでもやってきました。
     それでもルーフとゼビウスには伝えておいてください。『すまなかった』と」
オーディスが魔法陣の上に立つと、その傍らにはいつのまにかムニルがいた。
オーディス「お前まで来ることはないのだぞ」
ムニル「私はあなたに仕えると決めていますから」
二人の身体が透けてゆき、存在が虚ろになってゆく。
オーディス「そうか…こういうのも悪くないな」
カツオと花沢が見守る中、二人の人間は姿を消し、一つの気結晶が表れた。
カツオは夜の闇の中で輝くそれを拾い上げた。
カツオ「…俺には、あんたらがよくわからないよ」
タラオ「僕が悪役でなければならないってどういうことですか?」
「人は光を求め、闇を忌み嫌う。そのためには闇は悪でなければならんのだ」
イクラの口から言葉が発せられた。
タラオ「わけのわからないことを言うのは、やめにするです!」
戦いを再開しようと、イクラに突進する。そのスピードを乗せた拳を突き出すと、
イクラは防御行動ではなく、ESPを使った。
そして拳がイクラに届く前にリカが突然現れ、拳はリカを貫いた。
リカ「あれ…?」
少々間の抜けた声を出して、崩れ落ちるリカ。うつむいて黙り込むタラオ。
タラオの気は徐々に大きく、禍々しいものになっていく。
タラオ「殺してやる…!殺してやるDEATH!!」
完全にキレたタラオがイクラを睨んだ。

煽り 希望は闇へと沈み…

07/02/20のバレ

気結晶を持ったカツオがイクラとタラオの戦場へと向かおうとするが、
そちらの方を向いた途端、慄いてしまう。
カツオ「なんだよあれは…」
その戦場のあたりが闇に覆われていた。既に日が沈んでいるが、
それでも闇とわかる暗いものがそこにあった。
花沢「磯野くん…私…」
普段の花沢からは想像できない気弱な顔を見せる。
カツオ「俺もだよ…足がすくんでる」
しばし立ちすくむカツオ。
カツオ「あそこに何があるのかわからない。それでも…俺は行く!」
気力を奮い起こし、一歩、踏み出した。

タラオ「殺してやるDEATH!!」
タラオの拳を受けて、リカは倒れる。
タラオは禍々しいオーラを放ち、激昂した。
対するイクラは愉快そうに含み笑いをもらす。
「くくく…それだ…!そのオーラ!
それでこそ闇!それでこそTARAだ!!」
タラオ「DEATH!!」
リカの血にまみれた拳が、イクラを叩く。
まともにくらったイクラはふっとぶが、タラオは容赦なく追い立てる。
タラオ「DEATH!!DEATH!!!」
イクラの抵抗が全くないままにひたすら攻める。
一撃一撃が恐るべき威力を持った拳をイクラは何発も受け続ける。
「もっとだ…闇に身を任せるのだ…」
攻め立てられながらも、イクラはほくそえみを浮かべた。
カツオ「はあっ…はあっ…」
ただ歩いているだけなのに呼吸は荒く、嫌な汗をかく。
カツオがすでに戦闘不能なほどのダメージを負っていることを考えても異常だった。
花沢はもうついて来ていない。
ワカメ「お兄ちゃん…」
同じく歩いてきたワカメがすがるように声をかける。
カツオ「ワカメもか…『あれ』に近づくほどに嫌な気分になる…」
二人がいるのは、タラオとイクラの戦場である『塔』のふもと。
カツオ「姉さん」
カツオは、ちょうどそこにサザエが気を失って倒れているのを見つけた。
そこで突然、轟音が鳴り響き、『塔』が崩れた。カツオたち三人はそれに巻き込まれる。

やったのはタラオだった。
正確には、タラオの闇のオーラを最大限まで高めたパンチを放ち、
それをイクラが光のフォースで防いだことで衝撃と轟音が発生し、
それによって塔が崩れるほどの余波が生じた。
イクラ「ha-i」
イクラによる呪文の詠唱。すると、あたりを覆っていた闇は取り払われ、
二人の姿が見えるようになった。
『塔』が崩れてもタラオとイクラは宙に浮いたまま対峙しており、
タラオはもはや動かないリカを抱えている。
カツオ「リカちゃん…なんで…?」
塔が崩れたくらいで死ぬようなカツオではない。
いつのまにかサザエを助け出しており、ワカメも無事である。
そしてカツオが見上げると、そこに見えたのは、
ガールフレンドを抱えて、彼女の血にまみれ、闇のオーラを放つタラオと、
さっきまでとは打って変わって、神々しいまでの光のオーラを放つイクラだった。
カツオ「リカちゃんの精気を…遅かったか!」
悔しそうに歯噛みするカツオ。
イクラ「babu-」
おそらく攻撃の類である能力を使うと、タラオは抱えていたリカを落としてしまう。
それをカツオが慌ててキャッチした。
カツオ「ダメだ、タラちゃんは完全にTARAに支配されてる…!」
カツオには、そのように見えた。
カツオ「やっぱりタラちゃんを倒すしかないのか…」
イクラ「ha-i」
呪文を詠唱すると、恐るべき速さでタラオに接近し、拳を叩き込む。
タラオが全く反応できない速度であった。
空を飛ぶ能力でもあるのか、ここからは空中で戦いを展開する。
カツオたちや島民、帝国兵たちもその戦いを見守った。
イクラの拳を受け、すぐさまタラオも殴り返す。
しかしそれを左手に発生させた光のバリアで防ぎ、右手に光のオーラを纏い、顔面を殴り飛ばす。
タラオはすぐに態勢を整え、闇の波動を磯野砲のように飛ばし、イクラは光の波動で相殺する。
帝国兵たちは強大な闇の力を持つタラオに戸惑い、島民たちは光の力を持つイクラを応援し始めた。
(そう…光は闇を払い、神として歩み続ける)
イクラの中にある何かが言葉を紡ぐ。
サザエ「タ……ラ……ちゃん…」
カツオに抱えられたままで意識を取り戻したサザエ。しかし、その声に力はなかった。

煽り 伝説の戦い再び!歴史は繰り返すのか……

07/02/24のバレ

イクラ「tya-n」
イクラの全身から光が放たれると、やがてそれが収束して、タラオの闇のオーラをかき消していく。
タラオ「DEATH!」
しかし、タラオが気を高めるほどに闇は深くなり、イクラの光はかき消される。
タラオ「お前は…お前だけは生かしておけないDEATH!」
イクラ「babu-」
タラオが凄まじい速度でイクラに迫り、イクラのタラオに負けない速度でタラオに突っ込む。
二人が接近して拳がぶつかり、パワーがぶつかり合ったかと思えば、
次の瞬間には遥かかなたにいる。
タラオ「DEATH!」
イクラ「ha-i」
次の瞬間、再びタラオとイクラが超スピードでぶつかり合い、パワーを衝突させる。
二人は何合も拳を打ち合い、超パワーと超スピードが衝突するたびに光と闇が交錯する。
光は闇を打ち払い、闇は光を呑み込む。
タラオ「殺す…僕が殺すのDEATH!!」
戦いの余波も凄まじい。
二人が衝突するたびに気の爆発とそれに伴って爆音が鳴り響き、爆風で人や木々が倒され、
磯野砲やそれに類する攻撃の余波で山は砕かれ、大地に穴があく。
まさしく一万二千年前の戦いの再現であった。

ワカメ「最初は、イクラちゃんがTARAを封じてめでたしめでたし、なんて考えてた。
    ……私は甘かったみたい」
カツオ「そうだな。この戦い、どっちが勝ってもただじゃすまない」
ワカメ「TARAはともかく神歩も信用ができないことを私たちは知ってしまったわ。
    だったらタラちゃんが勝ってTARAを制御してくれればって思っていたけど…」
カツオ「今のタラちゃんを見ているとそれも期待できない。あれは完全にTARAに支配されてる」
ワカメ「私たちに何ができるのかしら…」
カツオ「できることはやるさ」
そう言って、カツオは元はオーディスとムニルだった気結晶を握り締めた。
タラオとイクラは持てる力の全てでもって、
拳と拳を、気と気を、力と力を、闇と光をぶつけあう。
全く互角(に見える)戦いは、いつ果てるともなく続く。

カツオ「戦い方はお世辞にも巧いとは言えない…
    タラちゃんとイクラちゃんがまだ未熟な上に
    扱う力が大きすぎるから…
    これだけ強ければ技巧なんかいらないって言う人もいるだろうけどね」
ワカメ「勝敗は、単純にどっちが強いかで決まるのね…」
カツオ「そのときが、俺たちの出番だ」

互角だった戦いの拮抗がわずかに崩れた。
タラオ「DEATH!」
タラオの渾身の力を込めた拳がヒットする。
タラオは一気に畳み込もうとラッシュをかけ、イクラは防戦一方に追い込まれる。
タラオ「DEATH!!」
何撃目かをまともにくらい、大きく吹っ飛んだ。それによって、二人の距離は大きくあく。
そこで、唐突に声が響いた。
「光を求める人々よ、力を貸すのです!闇を退けるために!!」
イクラから発せられたイクラでない声。
ワカメ「何…あの声は…?」
「邪悪な闇を払うために、光の力を!」
戸惑うワカメ。そして、イクラは両手を掲げて、呼びかける。
すると、イクラの掲げた両腕の上に、周囲から『気』が集まってくる。
「これは自然界から借りた気、そして人々の気を!」
呼びかけに答えて、人間たちはイクラに『気』を送り出した。
イクラに味方するという明確な意思表示でもある。中には、TARAの力を目の当たりにして
帝国兵の中にもイクラに味方して『気』を与える者もいた。
カツオ「お前ら、騙されるな!!神歩は大陸が滅んだ原因だ!!」
カツオは必死に叫ぶが、誰も耳を貸さない。そして、イクラには膨大な気が集められていく。
ワカメ「まさか、このためにわざとピンチを演出したの…?」
その疑問に答える者はいない。
数百人から集められた気は巨大な塊になった。イクラが豆粒に見えるほどの巨大で強大な気。
というか見た目は完全にドラ○ンボールの○気玉である。
一方のタラオも、それに対抗するために闇のオーラを溜める。こちらも強大なものであった。
掛け声とともに、二人はそれを放った。
タラオの放った、磯野砲に似た闇の波動と、イクラの放ったものがぶつかり合う。
イクラ+数百人の気の力はタラオを大きく上回り、闇の波動を呑み込んだ。
タラオは必死に気を高めるが、全く対抗できない。巨大な光がタラオを呑み込みかけたそのとき。
サザエ「タラ…ちゃん……あなたは、あなたの力で戦って……」
虫の息のサザエの声は、誰にも聞こえないはずだったが。
タラオ「ママ…?」
明確な『闇のオーラ』であったタラオの気が、(TARAではあるかもしれないが)通常の気へと戻る。

その気で以ってイクラの気に対抗するが、それでも敵わない。
そして、巨大な光がタラオを呑み込んだ。あとには静寂だけが残る。
「勝った…邪悪は滅んだ…私が……私こそが、神になったのだ…!!」
イクラが、彼には似合わない高笑いをあげ、勝利を宣言した。人々は喝采をあげる。
ワカメ「私は…こうなるために神歩を目覚めさせたはずなのに…」
暗い表情でつぶやくワカメ。
カツオ「ああ、まだ俺たちの勝利じゃない」
カツオはイクラに向けて手をかざした。

煽り 勝利…?

07/02/27のバレ

「悪は滅び…私は神になった…!」
イクラが、正確にはイクラの身体を使っている者が哄笑をあげる。
人々は喝采をあげ、イクラを奉った。
カツオ「これはまだ、俺たちの勝利じゃない」
カツオはイクラに向けて手をかざした。そして、砲撃するべく気をためる。
ワカメ「勝利じゃない?」
カツオ「あれは倒すべき敵だ。敵がいる以上は勝利じゃない」
カツオはオーディスから聞いた話を説明した。
神歩とは元々、古代帝国の文明が生み出した精神体のみの存在であり、
それが赤子に宿って力を発揮するものである、と。
カツオ「イクラちゃんはあんなことを言う子じゃない。
    ここに来てやっと確信したよ。神歩は神歩、イクラちゃんとは別人だ」
イクラに向かって磯野砲を放とうとしたそのとき。
イクラ「バブー」
イクラは、突然、自分の顔面を殴った。次いで、飛行を制御できなくなり、地面に落ちる。
「なぜだ!?」
この出来事に、周りの者たちは驚くが、「神歩」自身が一番驚いていた。
タラオ「勝手なことはやめてくださいって言ってますよ」
タラオが現れた。間違いなく大ダメージを負っているが、足取りはしっかりしている。
タラオ「イクラちゃんは神になんかなる気はないから、離してください」
「あれを受けて、生きているのか!」
タラオ「気づいてないんですか?イクラちゃんのおかげですよ。
    ほんのわずかだけ支配を逃れたイクラちゃんが、命中する寸前の僕に
    バリアをかけてくれたんです。かろうじて生きているんです」
「ならば、もう一度滅ぼすまで!」
その言葉を受けて、タラオは地面を蹴った。
そのジャンプでイクラまでの距離を一気に詰めて、勢いのままにとび蹴りをする。
イクラがバリアを出して、キックはその壁に阻まれ、タラオは着地する。
そこから前に飛んで間合いを詰める。タラオは怒涛の勢いでラッシュを繰り出し、
イクラはあるいは避けて、あるいはバリアで阻んで、あるいは力場でいなしてかわす。
タラオの、イクラの体の中心めがけたボディブロー。強力な気を込めた一撃をバリアで
正面から受けるが、その態勢のまま力が拮抗する。
タラオは拳に力を込め続け、イクラはバリアに強力な力を込める。その力がぶつかり続けるうちに、
そのあたりの空間がゆがんでゆく。火花や放電が発生し、その規模は大きくなる。
ついには、空間そのものが力に耐え切れずに爆発を起こした。二人を中心に、
見物人たちを巻き込むほどの規模。だが、その爆発が収まっても二人は戦い続けている。

ワカメ「今のタラちゃんはTARAの力を持ちながら、さっきみたいな悪のオーラを感じない。
    …もしかしてタラちゃんはTARAの制御に成功したの?」
カツオ「一部成功したっていうのが正しいだろうな。今のままじゃ危うい」
タラオとイクラは戦い続ける。しかし、戦いが長引くにつれ、タラオの雰囲気が変わってゆく。
ワカメ「またTARAが覚醒しているの…」
ワカメは不安そうな顔になる。
カツオ「それでもタラちゃんは必死に抗っている。イクラちゃんもそうだ。
    自分を支配する何者かと戦っているんだ。たいしたもんだよ二人とも」
ワカメ「お兄ちゃん?」
カツオ「俺たちにできることはある。姉さんもできるよな」
サザエ「そうね…」
かろうじて意識を保って、カツオと同じように手の平を標的に向けた。
カツオ「俺たちの武器はこれだ」
カツオは手に持っている気結晶を示した。
カツオ「たぶん、これが気結晶の本来の使い方だ」
サザエとカツオが気結晶に手を触れながら、磯野砲を撃つべく気を練る。
すると、気結晶が輝きを放つ。
カツオ「…あいつらの気が体に流れてくる」
サザエ「ええ…今なら最高の磯野砲が撃てそう」
サザエとカツオが同時にタラオとイクラに手を向けると、
ワカメもそれに寄り添うように手を向けた。
ワカメ「私に磯野砲は使えない…それでも、やらせて」
サザエとカツオは頷いた。

タラオとイクラの戦いは苛烈さを増す。二人ともダメージは限界に近かった。
タラオ「イクラちゃん」
戦闘の最中に、声をかける。
イクラ「チャーン」
タラオ「そうです。僕たちががんばるんです!」
タラオの左ストレートがイクラの右肩を砕く。
しかし、同時にイクラは左腕を振りかざし、タラオが袈裟懸けに斬られた傷を負う。
それでも戦いはまだ止まらない。

サザエ「タラちゃん、がんばって…」
ワカメ「これが決まれば、タラちゃんとイクラちゃんの勝ちよ」
カツオ「手を差し伸べられるのは、これが最初で最後だ…!」
三人は気を高める。それぞれが出せる最高の地点まで気を高めたとき。
三人「磯野砲!!!」
その手から磯野砲が放たれた。

煽り 届け、この力!!

07/03/03のバレ

カツオ「これで最後だ…!」
サザエ、カツオ、ワカメの三人が気を高める。
カツオはすでに戦闘不能、サザエは虫の息だが、気はさらに高まる。
それにつれて、三人の持つ気結晶は輝きを放っている。
三人「磯野砲!!!」
磯野砲が放たれた。(手元の部分が曖昧になっていて、「ワカメも磯野砲を使った」と
とれなくもない描写になっている。)それと同時に、気結晶は強い輝きを放ち、消滅した。
一人分どころか三人分を遥かに凌ぐ出力の磯野砲がタラオとイクラに迫る。
イクラ「ha-i」
タラオ「させません!」
イクラが何かしようとしたが、タラオが咄嗟に押さえつけて、何も起こらなかった。
イクラは逃れようとするが、タラオの力に勝てず、動くことができない。
そして、磯野砲が二人を呑み込んだ。

闇の中。何もない空間。タラオはひとりごちた。
タラオ「また会いましたね」
正確には、何者か、あるいは『闇』に向かって話しかけている。
(我らは常に共にある。会うという概念はない)
『闇』が返事をした。
タラオ「そうですね。TARAも僕の一部なんです。だけどイクラちゃんのことは放っておけません」
そこにイクラと、『光』が現れた。
イクラ「チャーン」
(そう…ここは肉体も物理も関係ない…純粋な『光』と『闇』の衝突…ここからが本当の戦い…)
『光』か『闇』のどちらかが、開戦を告げる。
「その戦い、私が立ち合わせていただきます」
いきなり、そこにオーディスとムニルが現れた。
タラオ「どうして、いるんですか!?」
予期しえない人物の登場に、さすがに驚くタラオ。
オーディス「思ったとおり、私自身が『気』となることでこの精神世界に介在できました。
     私は、ここでTARAと神歩の真実に触れることができます…」
タラオがオーディスを見つめる。
オーディス「帝国の技術、『読気術』を使って、私はこの世界のあらゆる事実を知っていますが、
     TARAと神歩のことだけはわからなかったのです。こうしてTARAと神歩に触れる機会を
     与えてくださって感謝しています。あなたがたにはご迷惑だったでしょうが」
オーディスがタラオに跪く。
オーディス「私はこれで満足です。ですが、あなたがたはまだ…」
そんなやりとりを尻目に、『光』と『闇』は衝突し、戦いが始まった。

磯野砲をくらったタラオとイクラは起きない。眠ったように動かない。
カツオ「あの時と同じだ」
ワカメ「母さんの術で封印したっていうときのこと?」
サザエ「まだ戦ってるのよ。タラちゃんとイクラちゃんの中で」
心配そうに見るワカメに対して、サザエは心配ないという顔だった。
ほどなくして、タラオとイクラは目を覚ます。穏やかな表情だった。
サザエ「タラちゃんたちの勝ちなのね」
笑顔で祝福するように、サザエは尋ねた。
タラオ「いえ、助けられました。お詫びだそうです」
?と言った顔のサザエたちに説明する。
タラオ「あのまま光と闇が戦っていたら僕たちも無事じゃすまなかったはずです。
    あの二人が僕たちの『気』に干渉して巻き添えをくわないようにしてくれたんです」
イクラ「ハーイ」
カツオ「チッ、あいつらに助けられるなんて」
わけがわからないサザエとワカメに対して、カツオは憮然とした顔になった。
『魔法陣』の効力で、若かったフネが本来の姿に戻っていった。
サザエ「本当にこんな効果があるのね」
カツオ「俺も母さんと戦ってみたかったけどな」
サザエ「しょうがないじゃない。今はそんな場合じゃないんだから」
サザエたちは戦後の後始末をしていた。具体的には負傷者を回収、介抱すること。
イクラのESPでふもとの村にいた甚六と波平を運んできている。
タラオ「ここの島の人たち…これからどうするんですか?」
カツオ「今は話し合ってるよ。戦おうとする奴らもいたけど、俺が『説得』したら言うことを聞いてくれた」
ワカメ「すごく過激な説得だったけど………」
カツオ「ワカメ、なんか言ったか?」
ワカメ「ううん、なんでもないわよ」
そこでタマの鳴き声が聞こえてきた。
カツオ「そうそう、タマも『説得』を手伝ってくれたんだ」
ワカメ「捕まって洗脳されたんじゃなかったの?」
カツオ「元スパイだからそんなの効かないってさ。ずっと暗躍してたわけだ」
ワカメ「みんな戦ってたのね…」
カツオ「そうだ。ワカメもよく戦ったよ」
ワカメは少し嬉しそうに、頷いた。
そこで、帝国兵たちと長老たちの代表と思われる者たちが、サザエのもとにやってきた。
「この先どうするかが決まりました。ついてはサザエさんにご協力を願いたいのですが…」
サザエと彼らが何やら話し合った末、サザエが納得した。
サザエ「最後の大仕事ね。みんな、帰り仕度をして!」
カツオ「なんか不安だなぁ…」
サザエはタラオの手を引いて、どこかを目指して歩き出す。

煽り 戦いは終わりそして…… 次号、古代帝国復活編 完結!

07/03/06のバレ

波平「『謎の大陸一夜にして消滅』……か」
波平が朝刊を読んでひとりごちた。テレビでも何故そんなことが起きたか、
推測が飛び交っているが、もちろん真実を突き止めた者はいない。
フネ「世間ではそんなものでしょうね」
朝餉を食べ終えた波平にお茶を出す。湯飲みを乱暴に置き、ドンと音がなる。
波平「まだ怒っとるのか。軽い冗談じゃないか」
フネ「知りません」
そっけなく顔を背けた。
波平(やはり若いままの方がよかったと言ったのはまずかったかの…今日は土産でも買って帰るか)
波平は出勤の準備にとりかかった。

−回想シーン−
長老「何度も話しあった結果、この世界に私たちの居場所は無いということで一致しました。
   だから私たちはご先祖様たちと同じ別世界に帰ろうと思います」
カツオ「別世界?大陸が滅んだのは神歩のせいだって聞いたぞ」
長老「『崩壊』したのは神歩のせいだとして、それならば大陸の住民の子孫や遺物がこの世界に
   残されていてもよいのではありませんか?そうならなかったのはご先祖様たちがかつての
   大陸ごとどこかへ消えてしまったからです。当時の次元気の使い手の力によって……」
サザエ「だから私の力がいるのね」
ワカメ「『崩壊』したのは神歩のせいだけど『消滅』したのは別の人物のせいってわけね」
長老「一時的に気の能力を強化する機械があるそうです。どうかお願いします…」
長老や帝国兵たちはサザエに頭を下げた。
−回想シーン終わり−
アナゴ「以上で報告を終了します。資料にもまとめておきました」
アナゴとマスオが部長に経過報告をした。
部長「やはりあの『本』の調査依頼をしてきたのは帝国の者だったわけだね。
   君たちを大陸へとおびき寄せるために…」
マスオ「面目ありません…」
部長「無限覚醒のことはまだ自身の意志では操れないのだね。
   ならばしばらくは秘密にしておいたほうがよいだろう。
   ではさっそくだが次の仕事にとりかかってもらおう」
『げっ』と言いそうになった二人に、部長は『何か文句あるのかね』と言わんばかりに睨みつける。

−回想シーン−
マスオが起きると、すでに正気を取り戻していた。アナゴからことの次第を聞く。
マスオ「僕にそんな力が…」
そう呟いて、マスオは自分の握りこぶしを見つめる。
マスオ(僕の中に大きな力が秘められているなら……僕はそれを手にしてみせる!)
アナゴ(私にまだ上があるのか…全ては私次第だ…!)
二人はそれぞれに、さらなる向上を誓っていた。
−回想シーン終わり−
西原「つまり、『気』で農耕地に活力を与えた結果、周りの土壌が異常にやせてしまったわけです」
花沢「そういえば、私の技で掘り進むのも簡単にできたわね」
中島「僕の千里眼で見たときも、土地の『気』は貧弱だった」
カツオ「大地だけじゃない。周りの海もそうだよ」
西原「根拠は?」
カツオ「あそこの料理を食べたんだけど、魚料理が一つもなかった」
西原「魚を食べる技術や文化がなかっただけじゃないか?元は山地だったんだろ」
カツオ「あれだけ武器があるんだから魚を獲る道具くらいあるだろ。
    それに『気』を使えばなんだって料理できる」
西原「自分たちが生きるために周りの大地や海を犠牲にしなきゃいけなかった…皮肉なもんだね」
カツオ「なんだってそうだろ。自分が勝つためには他人を負かさなきゃいけない」
先生「うむ。有意義なレポートだ。しかしな…」
話を聞いていた先生は、そこから声を荒らげる。
先生「先生が書かせたのは勝手に学校を休んだことの反省文だ!全員やり直し!!」
先生の拳骨が飛ぶ。その様子を、カオリと早川は微笑みながら見ていた。

−回想シーン−
その事実を聞かされた島民たちは一様にうなだれている。
西原「『気』を与えるためにはどっかから『気』を奪わなきゃいけない。簡単な図式だね」
カツオ「『霊』の存在が最初から教えてくれてた。ムーの文明は完璧じゃないってな」
島民たちが話し合いを再開すると、この大陸には住みたくないという方向に進んで行った。
−回想シーン終わり−
サブ「ちわー 三河屋でーす」
フネ「あら、今日はちょっと遅かったみたいですね」
サブ(機嫌悪いのかな…?)
サブはフネの様子に少し身じろぎする。
サブ「バトルライドスーツと一緒にバイクも強化されたんですけどね。それにまだ慣れてなくて…」
サブは申し訳なさそうに弁解する。

−回想シーン−
カティの墓前にサブとルーフが立っていた。機動装甲が墓標になっている。
サブ「俺はもっと強くなる。カティとこのバトルライドスーツに誓ってな」
ルーフ「羨ましいな。俺はあの剣と槍が砕けても何とも思ってない」
サブ「あれほど使い込んでいたのにか?」
ルーフ「俺は『どんな武器でも使いこなせる天才』ってことで通ってたんだ。
    俺に言わせれば一つの道を究めたオーディスやゼビウスこそが天才だ。
    結局、自分で使っていない武器――機動装甲以外のものには執着を持てなかった」
サブ「それならこの機動装甲を着てみるのはどうだ?持ち主なしじゃ寂しいだろ」
ルーフ「冗談はよせ。それに俺はこれ以上生きるつもりもない」
サブ「なんだって?」
ルーフ「あいつらの言うように、この世界に俺の居場所なんかないし、かと言ってあいつらと一緒に
    行く気はしない。オーディスやゼビウス、ムニルと一緒に俺も逝くべきだ」
サブ「生きろ」
ルーフ「なに?」
突然の言葉に、ルーフは呆けた声を出す。
サブ「勝者である俺が決めた。生きろ。機動装甲が居場所を決めてくれるさ」
ルーフ「……」
サブ「機動装甲がお前を認めれば、着られてくれる」
ルーフ「それさえできないなら死ねばいい……か」
ルーフはおずおずと機動装甲を手に取った。何やら操作して装着の手順を踏む。そして――
−回想シーン終わり−
サザエが商店街の八百屋に買い物に来た。
八百屋「その後、イササカ先生は順調ですか?」
買い物が終わって世間話に移る。
サザエ「ええ、少しずつだけど回復してるみたい」
八百屋「よかった。薬が効いたんですね」
サザエ「どうかしら?あんなうさんくさいものがねえ」
八百屋「うさんくさいと思ってるものを私に渡したんですか!?」
サザエは口が滑ってしまったと、口を手で押さえる。
サザエ「まあ、結果がよければいいじゃない」
慌てて取り繕った。

−回想シーン−
甚六が、人から離れて一人座っていた。落ち込んでいる様子でもあり、哀愁を感じさせた。
八百屋「そんなに落ち込まないでくださいよ」
甚六「でも俺…勝手なことやってまたみんなに迷惑かけて…合わせる顔がないですよ」
八百屋「そんなことはないですよ。ほら、これ」
甚六「なんですか?」
八百屋が小瓶を手渡す。サザエがルーフから貰ったものと同じものであった。
八百屋「古代帝国製の、気を回復する薬だそうです。イササカ先生に使ってみてくださいって。
    磯野さんたちは、ちゃんとみなさんのことを大切に思ってますよ」
甚六「………」
甚六は声がでなかった。泣き声を出すまいと必死にこらえていたから。それでも涙は堪えられない。
−回想シーン終わり−
イササカがリハビリに励んでいた。家族が見守る中、苦しそうだが歩いている。
懸命にサポートするオカルを、ワカメが見ていた。
一旦休憩に入り、イササカから離れたオカルにワカメが話しかける。
オカル「なにかしら?」
ワカメ「あの…この頃イササカ先生とはいろいろありましたけど…」
言い淀んだワカメにオカルは明朗に返事した。
オカル「互いに家族だと思っていれば家族なのよ。何があってもね」
ワカメ「そうですか……そうですよね」
少し嬉しそうなワカメ。そんなワカメを、甚六とウキエは訳もわからず見ていた。

とある出版社。イササカの休筆によってノリスケは忙しく働かされている。
ノリスケ「僕のことも忘れないでくれよ…」

−回想シーン−
カツオ「まだ気にしてるのか」
ワカメ「ううん。そっちじゃなくてTARAと神歩のこと。
    タラちゃんの話だと『光』と『闇』が精神世界で直接対決したっていうじゃない。
    両者は精神世界で相打ちになって対消滅したって考えていいのかしら?」
カツオ「さて、どうだかな。TARAは自分の一部だとタラちゃん自身が言っていた。
    一つだけ言えるのは、タラちゃんもイクラちゃんも成長してるってことだ」
ワカメ「タラちゃんはTARAの力を不完全だけど制御しつつあった。
    イクラちゃんも神歩に支配されながらタラちゃんを守るために
    神歩の力を逆に利用してバリアを張ったのね」
カツオ「つまりこのまま成長すればTARAや神歩そのものの力をもった戦士になるってことだ。
    このままなら二人とも強力なライバルになる」
カツオは遠くを見据え、拳を握った。
−回想シーン終わり−
タイコの家。タイコと、買い物を終えたサザエが談笑している。
サザエ「カツオったら『姉さんのことだから島の一つや二つ分消し忘れててもおかしくない』
    なんて言うんですよ」
タイコ「あらあら」
相槌をうつタイコだが、一つの疑問をサザエにぶつける。
タイコ「その大陸をもっと調べれば磯野家の起源というものにも迫れたんじゃありません?
    それなのに誰も気にしていないみたい」
サザエ「そうねぇ。私たちの居場所はここにあるから……かしら」
しばらくの間、沈黙がその場を支配する。そこに、呼び鈴が鳴り響く。
「イクラちゃーん」
タイコ「あら、タラちゃんの声ね」
サザエ「私たちのいるここが私たちの居場所ってことね」
タイコがドアまで迎えにいくと、そこにはタラオとリカがいた。
イクラが「ハーイ」と答えると、三人は遊びに出て行った。
親も見ていなければならないということで、サザエとタイコも一緒に行く。

サザエは、魔法陣の話を聞いたときのことを思い出していた。
いわく、その魔法陣で「自然な姿」にしたらタラオはTARAになるかもしれない、と。
サザエ(私はそうは思わないわ)
サザエはタラオたちが遊ぶ姿を見つめている。
日は高く、その日差しが影を作っていた。三人が動くにつれ、光と影が交錯する。
サザエ(TARAであったとしても、神歩であったとしても、これが私たちのありのままの姿よ)
子供たちを見守りながら、タイコとともに微笑んだ。

古代帝国復活編 完

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