07/03/28のバレ

煽り;新章スタート!「桜」編!!
場面はカツオ達の教室から。中島とカツオが話している。カツオが不満そうな顔で
カツオ「中島砲って名前やめろよ」
中島「なんだよ、もう良いじゃないか」
中島は意に介さない様な表情で頬杖をついきながら校庭を眺めている。
「ん?」
校庭を走る女の子−ワカメだ。
「大体なぁ…」
「何だ磯野、ワカメちゃんと一緒じゃなかったのか?」
話途中で遮られたカツオは不服そうにしながら答える。
「あぁ。モタモタしてたから置いてきたんだよ。」

場面変わって校庭を走るワカメ。
「あ〜ん、遅れちゃう!」と、校舎の時計を見上げたので足元の石につまづいて、派手に転ぶ。
「痛…。母さんや姉さんならこんな石に躓かないわね…。まだまだね。」
ブツブツ言いながら、立ち上がろうとすると白い手がワカメの目の前に現れた。
「大丈夫?」
手の主は、恐い位白く透き通った肌をした少年だった。口元には微笑を浮かべている。
「え、ええ。」
余りに気配を感じなかったので驚きを隠せなかった。いくらなんでも、自分の間合に人が入って気付かないほど、気は抜いていない。
警戒しながら自分の力で立ち上がったワカメはその少年を見つめる。「あなたは誰?」

努めて平静を装いながら尋ねる。
少年は微笑みを絶やさずに、答えた。
「春からこの街に越して来たんだ。櫻井京介っていいます。よろしく。」
ニッコリと人懐っこそうな笑みを浮かべるともう一度、手を差し出した。
その手に引き込まれるようにワカメも手を出す。
二人の手が触れ合った瞬間に突風が吹いて、桜の花びらが校庭を覆い隠したようになる。

場面戻ってカツオ達。
「うわぁーすごい風だな」カツオが呆れたように桜色に染まった校庭を見ている。
「なぁ、磯野、うちの校庭にこんなに桜の花びらあったか?」
中島がいぶかしげに言う。

続きです。
「そういえば……。」
(アイツ、見ない顔だな。……。)
カツオが戦闘モードに切り替わりかけた瞬間、花沢が後ろから頭を思いっきり叩く。
「磯野君!!アンタ、今日日直でしょ!アタシばっかりに仕事させないでよ!」
頭をさすりながら
「痛てて、思いっきりぶたないでくれよ。それに今、それ所じゃ…」
と窓を見直すといつも通りの校庭にワカメが立っているだけだった。
「あれ?」

場面はワカメに。
舞い落ちる花びらに見とれていると、京介が声をかけた。
「ワカメちゃん、遅れちゃうよ?」いたずらっぽく笑いながら時計を指差す。
「あ!」慌てて走り出した瞬間に一つの引っ掛かりに気付く。(私、名前言ったっけ?)
振り向くと誰もいなかった。

「ほらいつまでもそんな顔してたら、リカちゃんもゆっくり眠れないわ。」
サザエは先の戦いでガールフレンドを殺めてしまった息子を何とか励まそうと心を砕いていた。
しかし、タラオはそんな母の心遣いが判っていて尚、明るく振る舞えなかった。
しかし、溜め息をついたタラオの目に飛び込んできたのは信じ難い光景だった。
「お…母さん…。」
息子の震える指先を見た母もやはり動揺を隠せなかった。
車道を挟んだ歩道に歩く青年と少女。
その青年は白い肌とは対称的な染み通るような黒い長髪を後ろで束ねていた。
そして少女は明らかにリカだった。
「リカちゃん!リカちゃん!!」
タラオは声の限りに叫んだ。
声に気付いて振り向いたリカの目は、光りを失って鈍く曇っていた。
青年が何かを囁くとリカはタラオ達を無視して歩き始めた。
「私達が分からないのかしら?」
サザエが不審そうに呟くのとタラオの気が変わったのは同時だった。
「ちょっと!こんな街中でTARAになったら被害が出るわ!ダメよ!タラちゃん!」
母の制止も虚しくTARAは突撃しようとした。
その刹那、青年が凄まじいまでの眼光でTARAを睨めつけた。
その眼光のあまりの凄まじさにTARAは尻餅をついてしまう。サザエも棒立ちで動けなかった。
その眼光には、憎悪、怨恨、嫉妬、貧窮、悲哀、孤独、恐怖、ありとあらゆる負の力が込められていた。
サザエ達が射すくめられたのが分かると、青年は一変して和やかな笑顔を作り、会釈をするとリカの手を引いて雑踏へ消えてしまった。
「何ですか?今の?あんなのボクは見たことがありません……。」
呆然とするタラオ(TARAモードは尻餅をついた時に解除されてます。)と冷汗を拭うサザエ。

場面転換。ざっとうを抜けた、青年とリカが歩いている。
その横をバイクが通り過ぎる。
彼等とすれ違ったバイクは角を曲がると急停止した。
バイクから降りた人物はサブだった。
「あれ?リカちゃんだよな?で一緒に歩いてたのが、最近越してきた…櫻井さんトコの長男の…なんつったっけ?……あ!淳弥君だ!でも、何で…?」不審そうに見送るサブ。そして櫻井淳弥の顔のアップ。表情はうっすら笑ってる感じ。

煽り;桜と共に凶々しい狂気がサザエ達に忍び寄る………!?

07/03/31のバレ

カツオ達の教室。カツオ、中島、花沢が窓際にいる。
「何にもないじゃない。まったくサボろうとして!」
「違うんだ!ホントなんだって!中島も見たろ!」
「ああ、磯野が言ってる事は本当だよ。」
ほら、見ろと言うように花沢を睨むカツオ。花沢は意に介さずに日誌をカツオに押し付ける。閉口したようなカツオの顔。
キーンコーン。
チャイムが鳴ると同時に先生が入ってくる。
「起立!礼!おはようございます!着席!」
「うむ、おはよう。今日はこのクラスに友達が増える。」
ざわめく教室。そして一通り騒ぎ終わるのを待って先生が廊下にいる少年に声をかける。
「静かにしなさい!キミ、入ってきなさい。」
教室に入って来たのは櫻井京介だった。
先生が黒板に彼の名前を書く。
「自己紹介しなさい。」
促された少年は微笑んで一つ頷いた。
「初めまして。九州から転校してきました。櫻井京介です。よろしくお願いします。」
言い終わると同時に頭を下げる。まるで、能の型の様な綺麗な礼だった。
「おい磯野」
中島が目で合図をしている。カツオは頷いて応える。
(櫻井京介……。さっきのはアイツの仕業か?)
「席は…そうだな、中島の横に座りなさい。」

京介は示された席へ座る。
「よろしくね。」
人懐っこい笑みで中島に挨拶をした。
「あ、ああ。」
中島はあまりに無防備な笑顔に少し面食らっていた。
「櫻井はどの辺に住んでるんだい?」
何となく間を持て余した中島が訪ねると、中島と同じ町内だと答えた。
「そうか、偶然だな。どうだい?いつも磯野達と野球をやってるんだけど、櫻井も来るかい?」
同じクラスで同じ町内の友人が今までいなかった中島は少し浮かれて櫻井を誘った。
「いいの?」
「もちろんだよ!なぁ磯野。」
カツオへ向き直る中島。カツオは少し戸惑っていたが中島の勢いに押されて頷いてしまった。

場面変わって磯野家の勝手口。サブとフネが話している。
「あ、そうだ!」
サブが何か思い出したように手を叩く。
懐から取り出したのは、遊園地の招待券だった。
「良かったら、どうですか?タラちゃんやカツオ君達と。」
「あら、良いのかい?じゃあお醤油もお願いするわ」
「へへっありがとうございます!」
サブは頭を下げながらチケットを渡した。

場面転換、外はもう日が暮れている。
食卓を囲む磯野家。
「あ、ワカメ、お前が朝話してたヤツ、俺達のクラスだったよ。」
「櫻井君が?」
箸を止めて反応したワカメは兄にはあまり気分が良くなかった。
「櫻井君が?じゃないよ。おい、ワカメあんな校庭の真ん中でデレデレしてるなよな。恥ずかしいよ。」
「デレデレなんてしてないもん!」
ワカメがカツオを睨みつけた。と、サザエがニヤニヤしながら割って入ってきた。
「あら、そんなにカッコ良かったの?」
「お姉ちゃんまで!」
「いや、別にカッコ良くないよ。なんか幽霊みたいに青白いしさ、不気味なんだよ。なのにクラスの女の子達までキャーキャー言っちゃってさ。」
「これカツオ、そんな言い方するんじゃありません。」
それまで黙っていたフネがたしなめるとカツオは首をすくめる。
「あれ、タラちゃん元気ないね、どうしたの?」
カツオが話題を変えようと話をタラヲにふった。しかしタラヲは悲しそうに首を横にふるだけで答えない。
「どうしたんだい?タラちゃん?」
マスオも心配そうにタラヲの顔を覗き込む。
「実はね…。」
サザエが変わりに昼間の出来事を説明した。
「見間違いじゃないのか?」
さすがに波平も驚いてサザエに聞く。
「見間違いなんかじゃないです!あれは確かにリカちゃんでした!」
タラヲが猛然と叫ぶ。
「じゃあ、良かったねぇタラちゃん。」
フネがタラヲの怒りを受け流すように和やかな微笑みを浮かべる。
「?」
怪訝そうな顔のタラヲ。
「リカちゃんがタラちゃんの事、忘れちゃったなら又友達になれば良い。何かでタラちゃんに怒ってるなら仲直りすれば良いじゃない。ね?生きてれば良いじゃないか。」
フネが優しくタラヲに微笑んだ。
タラヲは涙をぬぐう。
「はいです…。」
フネは微笑んだまま、割烹着のポケットから昼間サブからもらったチケットを出した。
「母さん、何それ?」
ワカメが訪ねる。
「今日、サブちゃんからもらったんだけどね、五名様ご招待の遊園地のチケットだよ。明日は日曜だし、行っておいで。」
「遊園地!?やったー!!」
カツオがいち早く声を上げた。ワカメもそれに続いた。しかしタラヲだけは喜ばない。
「どうしたタラちゃん、遊園地好きだろう?」
波平が孫に聞く。タラヲは首を横にふる。
「でも五名様だと全員じゃいけないです…。」
孫の優しい心遣いが余程嬉しかったのだろう、波平とフネが顔を見合わせて笑う。
「なんだ、そんな事か。ワシと母さんが留守番をしてるから、サザエ達に連れて行ってもらいなさい。たまには母さんと二人でゆっくりするのも悪くないさ。なぁ、母さん。」
モノローグ;祖父母の優しさはタラヲの傷ついた心を癒してくれた。タラヲは両親とカツオ、ワカメと行く遊園地が楽しみで、暫く寝付けなかった。

場面転換、櫻井家?で桜を見上げている櫻井兄弟。淳弥が独り言の様に呟く。
「俺達には時間が無い……。」
京介は無言のまま。

煽り;平和な一時……忍び寄る悪夢…!

07/04/07のバレ

煽り;桜に狂う。
翌日、晴れ渡った空の下、磯野家全員が家の前に集まっている。
「じゃ、そろそろ行こうか。」
マスオが皆を見渡す。
「はーい!」
タラヲ、カツオ、ワカメが元気な声を上げる。
「ちゃんとマスオ君の言う事を聞くんだぞ。」
波平が幾分不安になったのか釘を刺した。
「大丈夫よ、私だっているんだし」
サザエが胸を張った。
「だから不安なんだ。」
波平は笑って返した。
「ちょっと!父さん!?」
「まぁまぁ、皆気をつけていって来るんだよ」
フネがすかさずとりなした所で出発となった。
「ふぅ、やっと行きおったわ、母さん、お茶でも入れてくれんか。」
波平が首を回しながら家の中に入っていった。そしてフネがそれに続く。

場面変わって博多。若い男、少年と青年のちょうど境目にいるような彼は着信を知らせる携帯電話を取った。
「あぁ、分かった。こっちもこれから動くよ。」
彼は、博多という大都市の街中でも目立った。生気を感じさせないほどの肌の白さ、長身、そして毛先がピンクになるまで脱色した金髪を逆立てており、一見するとパンクスにしか見えない。
電話を切るとタクシーを拾って彼は街中を離れた。

タクシーはどれほども走っていないのだが、休日の渋滞という事もあって、彼が降車したときには時計は1時を指していた。
「まぁ、かえってちょうど良いかな。」
腕時計を見て独り言を呟く。彼は、ある家の前の車道に腰を下ろした。
プップー!
当然の様にクラクションが鳴る。彼はゆっくり振り返り、クラクションを鳴らした車を見つけると少し笑った。
運転手が車から降りてくる。海平だ。
「君、危ないじゃないか」
海平の言葉を無視して彼は立ち上がって海平を凝視した。
「磯野海平さんですね。」
ズボンの埃を払いながら尋ねる。
「いかにも、ワシは磯野海平だが、君は誰だね?」
「あぁ、自己紹介がまだですよね…。櫻井勝海です。」
勝海は手を広げながら海平との距離を取っていく。
「その勝海君がワシに何の用だね?」
海平は依然警戒した様子もなく自然体で立っている。
「いや、何、所謂、チャレンジャーってヤツですよ。史上最強を誇る磯野家の家長にね。」
言い終わった瞬間に、地を蹴って海平に突撃する。
ガシッ!
勝海のミドルキックはしっかりとガードされた。「なかなか速い。その若さで大したモンだ」
不適に笑う海平。次号へ。
煽り;磯野家vs櫻井一族、勃発!

07/04/09のバレ

テンポ良く戦う二人。やや勝海優勢か。
勝海の左ボディブローをガードしようと海平は腕を下げた。
それより一瞬早く勝海がボディブローを透かし、右バックブローを繰り出した。海平のコメカミから血が流れる。
「ふんふん、全く大したモンだな。若いのに技が嫌らしい位に丁寧だな。」
血を拭いながら感心したように頷く。
勝海は応えずに続けて右ハイを出すがこれは片手でガードされた。
右足を宙に置いたまま今度は中段前蹴りを出すがこれも手刀で遮られる。
勝海は右足の痛みに顔をしかめながら、一旦距離を取ろうとした、海平はそこを付こうと、前に合わせて出る。
が、それは勝海の罠だった。痛めた右足への追い撃ちのローキックをかわし、顎へと素晴らしいアッパーを叩き込んだ。
不意を付かれた海平は膝から崩れ落ちた。
勝海は慎重に海平を観察しつつ距離を取る。
「これ位で探り合いはやめません?」
その言葉に海平が反応して立ち上がる。
顎をさすりながら不敵に笑っている。
「ヤなガキだ。しかさすまんかったな。君が若さ故の命知らずのチャレンジャーだとしたら、ワシも手加減せざるを得ないんでな。」
海平の顔付きが変わった。

「しかし、その心配は無かったよ。君は命を賭けて向かってくる資格を持ってる。」
勝海は無表情に腕を組んで海平を眺めている。
「くっくっく…アンタさぁ、甘いよ。命を賭ける資格?そんなもんは戦いに身を置く者ならどんな弱者でも持ってるよ。」
傲然と海平を見下ろすように、続ける。
「アンタは一族の当主だけあって、お前らの思い上がりを良く体現してるよ。」
海平は表情を変えない。
「その思い上がりがお前の顎を粉砕したんだ。次は……」
海平を見据えて宣告を下すように続けた。
「……命を砕く。」
依然、無表情な海平だか、何かを決意したように頷く。
「所詮は子どもか。思い上がりがどちらか知らしめてやろう。」
海平は眼鏡を外し、頭の毛を抜いた。
「最終リミッターまで解除した。もう、命は、諦めてくれ。」
凄まじい闘気が場を覆い尽くし、桜の花びらが舞散った。
しかし、勝海は顔色一つ変えずに、海平に対している。
「その見下した顔をやめんかっ!!」
海平の喝で花びらより激しく舞った。
しかし、そんな海平の怒りを逆なでするように勝海は人差し指で「来い」と促した。
突撃する海平、辺りは光りに包まれる。
煽り:最終海平、始動!

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